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「明日、有休取ります」は拒否できる?経営者が知っておくべき『時季変更権』と有休管理簿の盲点

岸和田THREE社労士事務所
8月26日
読了時間: 4分

「明日、急用ができたので有給休暇を取ります」

「人手不足の繁忙期に、急にまとまった有休申請を出された」


パート・アルバイトやシフト制スタッフを雇う現場の経営者・店長様から、こうした「急な有休申請」や「直前申請」に関するご相談が後を絶ちません。


「年5日の有給休暇取得義務化」が定着した一方で、現場では「いつ・どのような理由であっても、従業員の言う通りに有休を与えなければいけないのか?」という運用の悩みが深刻化しています。


今回は、経営者が知っておくべき法律上のルール「時季変更権」の実態と、現場のトラブルを防ぐ就業規則・帳簿管理のポイントを解説します。


1. 原則:有給休暇の取得理由は「自由」

まず労働基準法上の大原則として、有給休暇は「労働者が指定した日に取得させること」が義務付けられています。


事業主側が「取得理由」を理由に有休を拒否することは原則できません。「私用のため」「旅行のため」といった理由であっても、申請された日に与えるのが基本ルールです。


2. 会社側に認められた唯一の対抗策「時季変更権」とは?

「じゃあ、どれだけ現場が回らなくなっても休ませるしかないのか?」というと、決してそうではありません。


法律では、会社側に「時季変更権(労働基準法第39条第5項)」という権利が認められています。


■ 時季変更権が使える条件

「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、従業員が指定した有休の日程を「別の日に変更してもらう」ことができます。


  • 認められやすいケース


    同日に複数の同僚が休むため代替要員がどうしても確保できない、繁忙期のピークでその人でなければ対応できない業務がある、など。


  • 認められないケース


    「単に人手不足だから(日頃の要員計画の不備)」「忙しい時期だからという大まかな理由」など。


3. 「前日や当日の直前申請」はどう扱うべきか?

現場で最も揉めるのが「明日休みたい」「今朝連絡して有休にしたい」という直前申請です。


裁判例や行政解釈では、「事業主が時季変更権を行使するかどうかを検討する時間的余裕がない直前申請」については、会社側が変更権を行使できなくても仕方がない(=必ずしも有休として認めなくてもよい)という考え方が一般的です。


ただし、これを現場でスムーズに運用するためには、「就業規則への明確なルールの記載」が不可欠となります。


4. 現場トラブルを防ぐ「就業規則」2つの必須ポイント

従業員との無用な摩擦や「言った言わない」のトラブルを防ぐため、以下の2点を今すぐ自社の就業規則(または賃金規程・パートタイマー就業規則)に定めておくことを強くおすすめします。


① 申請期限を明確にする

「有給休暇を取得する場合は、原則として〇日前までに所定の申請書にて届け出なければならない」と明記します。(※一般的には2日前〜1週間前程度が妥当とされています)


② 直前申請や欠勤の「有休振り替え」のルール化

当日の急な病欠などを「後から有休扱いに変更してほしい」と求められた際、会社がそれを許可するかどうかの基準(「会社が認めた場合に限り有休振り替えを許可する」等)を定めておきます。


5. 意外と忘れがち!「年次有給休暇管理簿」の作成・保存義務

急な有休対応と合わせて経営者が絶対に押さえておくべきなのが、「年次有給休暇管理簿」の作成と保存(5年間)です。


2019年の法改正により、事業主は有給休暇を与えた基準日や日数、実際に取得した日付を労働者ごとに記載した「管理簿」を作成し、保存することが法律で義務付けられました(違反時は30万円以下の罰金対象)


「年5日取得させたから安心」と管理簿を作っていない

シフト表や出勤簿だけで管理していて、個人別の管理簿がない


労基署の調査でも必ずチェックされるポイントですので、就業規則の整備とセットで「誰が・いつ・何日有休を取ったか」がひと目でわかる管理体制を整えておくことが不可欠です。


まとめ

年5日の有給休暇取得義務を果たしつつ、現場のシフトや業務をスムーズに回すためには、「事業主の権利(時季変更権)の正しい理解」「ルールを明確にした就業規則・管理簿の整備」が欠かせません。


「パートさんの急な有休申請で現場が回らない」「現在の就業規則や管理簿の作成方法に不安がある」「有給休暇管理を依頼したい」という経営者様は、ぜひ一度自社の労務管理チェックをご相談ください。



※7月16日に公開した『【令和8年最新】「シフト制」における雇用管理の留意点と有給休暇・休業手当の実務対応』と合わせてご覧いただくと、より理解が深まります。



【出典・一次情報】



 
 

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