考えるところがあったので少し書いてみました。
芸能人は、労働基準法の適用を受ける労働者であり、労働基準法の基本原則である
「労働契約の自由」「使用者の指揮命令権」「労働者の権利」が適用されます。
しかし、芸能人は、労働基準法の適用除外や特別な労務条件が適用される場合もあり、一般の労働者と異なる労務管理が必要です。
芸能人の労務管理の課題としては、以下のようなものが挙げられます。
労働契約の自由の制限
芸能人は、芸能事務所と専属契約を結ぶことが一般的です。専属契約は、芸能人が芸能事務所の専属として、芸能活動をすることを約束する契約です。専属契約は、労働契約の自由の原則の例外として、労働基準法で認められています。しかし、専属契約は、芸能人の自由な労働選択の権利を制限する可能性があるため、慎重に締結する必要があります。
使用者の指揮命令権の限界
芸能人は、芸能活動において、創造性や個性を重視されることが多いため、使用者の指揮命令権は、一般の労働者と比べて限界があります。例えば、芸能事務所が芸能人に、特定の役柄を演じるよう強要することは、芸能人の創造性や個性を侵害する可能性があるため、違法になる可能性があります。
労働者の権利の制限
芸能人は、労働者の権利として認められている、労働組合結成権や団体交渉権が制限される場合があります。これは、芸能活動の特殊性から、労働組合活動が芸能活動の円滑な運営を妨げる可能性があるためです。 これらの課題を解決するためには、芸能事務所は、芸能人の労働環境の改善や、労働紛争の予防・解決のために、社会保険労務士の助言や指導を受けることが重要です。
芸能事務所が行うべき対策
芸能事務所が芸能人の労務管理を改善するためには、以下の対策を行うことが重要です。
芸能人の労働の実態を把握する
芸能人は、芸能活動の種類や規模によって、労働の実態が大きく異なります。芸能事務所は、芸能人の労働の実態を正しく把握し、それに応じた労務管理を行う必要があります。
就業規則を整備する
芸能事務所は、労働基準法に基づく就業規則を整備する必要があります。就業規則には、労働時間や休日、給与、福利厚生など、芸能人の労働条件に関する事項を定めておく必要があります。
労働契約を適切に締結する
芸能事務所は、芸能人と労働契約を締結する際には、労働基準法の規定を遵守する必要があります。また、専属契約を締結する場合には、芸能人の自由な労働選択の権利を制限しないよう、慎重に検討する必要があります。
労働時間の管理を行う
芸能人は、長時間労働や過労死・過労自殺などの問題が指摘されています。芸能事務所は、労働時間の管理を適切に行い、芸能人の健康を守る必要があります。
労働災害の防止対策を講じる
芸能人は、交通事故や舞台事故などの労働災害のリスクがあります。芸能事務所は、労働災害の防止対策を講じ、芸能人の安全を守る必要があります。
労働紛争の予防・解決に努める
芸能事務所と芸能人の間で労働紛争が発生した場合、双方に大きな損害を与える可能性があります。芸能事務所は、労働紛争の予防・解決に努めることが重要です。 このように、芸能事務所は、芸能人の労働環境の改善と労働紛争の予防・解決のために、さまざまな対策を講じる必要があります。
社会保険労務士は、芸能事務所の労務管理に関する専門家として、これらの対策を支援することができます。
以上、考になれば幸いです。
山下
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