三菱重工業長崎造船所(一次訴訟・会社側上告)事件争点
- 岸和田THREE社労士事務所
- 2024年11月17日
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更新日:1月28日
Y社長崎造船所の従業員であるXら二七名が、右造船所では、完全週休二日制の実施に当たり、就業規則を変更して、所定労働時間を一日八時間(休憩時間は正午から午後1時までの一時間とする)とし、始業・終業基準として、
(一)始業に間に合うように更衣等を完了して作業場に到着し、所定の始業時刻に実作業を開始し、
(二)午前の終業においては所定の終業時刻に実作業を中止し、
(三)午後の始業に当たっては右作業に間に合うように作業場に到着し、
(四)午後の終業に当たっては所定の終業時刻に実作業を終了し、終業後に更衣等を行うこととされ、始業・終業の勤怠把握基準としては、従前の職場の入口又は控所付近に設置されたタイムレコーダーによる勤怠把握を廃止し、更衣を済ませ始業時に所定の場所にいるか否か、終業時に作業場にいるか否かを基準に判断する旨が新たに定められ、
当時Xらは実作業に当たり、作業服のほか保護具、工具等の装着を義務づけられ、
これを怠ると懲戒処分等を受けたり、成績査定に反映されて賃金の減収につながる場合があったところ、就業規則の定めに従って所定労働時間外に行うことを余儀なくされた
(1)入退場門から所定の更衣所までの移動時間、
(2)更衣所等において作業服のほか所定の保護具等を装着して準備体操場まで移動時間、(3)午前ないし午後の始業時刻前に副資材等の受出し・午前の始業時刻前の散水に要する時間、
(4)午前の終業時刻後に作業場から食堂等まで移動し、現場控所等において作業服等を一部離脱する時間、
(5)午後の始業時刻前に食堂等から作業場等まで、作業服等を再装着する時間、
(6)午後の終業時刻後に作業場等から更衣所等まで移動してそこで作業服等を脱離する時間、
(7)手洗い、洗面、洗身、入浴後に通勤服を着用する時間、
(8)更衣所等から入退場門まで移動する時間が、いずれも労働基準法上の労働時間に該当するとして、八時間を越える時間外労働に該当する右諸行為に対する割増賃金等を請求したケースのY側の上告審で、
一審と同様に、(2)、(3)及び(6)の諸行為に要した時間は、
いずれもYの指揮命令下に置かれているものと評価でき、労働基準法上の労働時間に該当するとしてXらの請求を一部認容した原審の判断が正当として是認できるとして、
Yらの敗訴部分取消しを求めた上告が棄却された事例。
賃金請求上告事件
労働基準法32条
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