人権デューデリジェンスは、企業が自社のサプライチェーン全体にわたる人権リスクを特定し、防止・軽減するための取り組みです。
この取り組みにおいて、社労士は、以下の点で重要な役割を果たすことができます。
人権リスクの特定・評価
社労士は、労働に関する専門知識を活かして、自社のサプライチェーンにおける人権リスクを特定・評価することができます。
具体的には、労働法や労働基準法などの法令、国際労働機関(ILO)の指針や勧告、国際人権規約などの国際基準を参考に、人権リスクを洗い出すことができます。
人権リスクの防止・軽減措置
社労士は、人権リスクを防止・軽減するための措置を策定・実行する際に、労働関係の調整や紛争の解決に関する専門知識を活かして、企業を支援することができます。
具体的には、サプライヤーとの契約書の作成や、人権に関する研修の実施、監査の実施などにおいて、社労士のサポートが有効です。
取り組みへの実効性の評価・モニタリング
社労士は、実施した取り組みが効果的であるかどうかを評価し、継続的に改善を図る際に、労働に関するデータや情報を分析する専門知識を活かして、企業を支援することができます。
説明・情報開示
社労士は、人権デューデリジェンスの実施状況について、ステークホルダーに説明・情報開示する際に、法務に関する専門知識を活かして、企業を支援することができます。
具体的には、人権デューデリジェンスの報告書の作成や、説明会・対話会の開催などにおいて、社労士のサポートが有効です。
このように、社労士は、人権デューデリジェンスの各ステップにおいて、専門知識やスキルを活かして、企業の取り組みを支援することができます。
近年、人権デューデリジェンスの重要性が世界的に高まっており、欧州を中心に義務化の動きが進んでいます。日本でも、2022年に経済産業省が「人権デューデリジェンスに関するガイドライン」を策定し、企業に人権デューデリジェンスの実施を促しています。
今後、人権デューデリジェンスの実施が企業にとってますます重要になる中で、
社労士のニーズも高まっていくと考えられます。
人権デューデリジェンスは中小企業にも広がっていくと考えられます。
その理由としては、以下が挙げられます。
人権デューデリジェンスの重要性の高まり
近年、人権デューデリジェンスの重要性が世界的に高まっています。
欧州では、フランスやドイツなどを中心に、人権デューデリジェンスの義務化の動きが進んでいます。
このような動きを受けて、中小企業も人権デューデリジェンスの実施の必要性を感じるようになってくると考えられます。
中小企業にとっての人権デューデリジェンスのメリット
中小企業にとっても、人権デューデリジェンスの実施には、以下のようなメリットがあります。
〇人権侵害のリスクを軽減し、企業の社会的責任を果たす
〇ステークホルダーの信頼を獲得し、企業価値を向上させる
〇新たなビジネスチャンスの獲得につながる
これらのメリットを踏まえると、中小企業も人権デューデリジェンスの実施に取り組む意義は大きいと言えます。社労士のサポートを活用することで、中小企業でも人権デューデリジェンスの実施を比較的容易に行うことができるようになりました。
参考になれば幸いです。
社労士/労務管理コンサルタント
山下
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