top of page

【連載:令和8年版 労働経済白書から読む中小企業の未来②】

岸和田THREE社労士事務所
59 分前
読了時間: 5分

「AIツールを入れただけ」で終わらせない!「AI導入×人的資本投資」で乗り切る中小企業の生産性向上

厚生労働省が公表した最新の『令和8年版 労働経済の分析(労働経済白書)』。

全3回でお届けしている本連載、第1回では「実質賃金減少と採用・定着戦略」について取り上げました。   


第2回となる今回のテーマは、大企業だけでなく大阪・泉州エリアや関西の中小企業にとっても避けて通れない「AI・ITの活用と生産性向上」です。   


「人手不足を補うために、話題のAIツールや業務ソフトを導入してみたものの、現場で定着しない」

「現場から『使いにくい』と反発があり、コストばかりかかって成果が見えない」——。


大阪市内や南大阪・泉州地域の企業様からも、こうしたご相談を非常に多くいただきます。 なぜ、ツールの導入だけで終わると失敗してしまうのか? 白書が明かした「中小企業が本当に投資すべきポイント」を社労士の視点から紐解きます。   



1. 過去の苦い教訓:日本が「IT導入期」に伸び悩んだ本当の理由

白書では、現代のAI普及期を分析するにあたり、1995年〜2004年の「IT導入期」を振り返っています。 当時、米国などがIT投資によってGDPを大きく伸ばしたのに対し、日本はIT投資の遅れとともに経済成長が大きく伸び悩みました。   


しかし、白書が指摘する本質的な差は「パソコンやツールの購入量」だけではありません。 決定的な違いは、「ITツールへの投資」と同時に「それを使う人材への投資(人的資本投資)」を行っていたかどうかでした。   


  • IT投資と人材育成をセットで行った国・企業: 経済成長率や現場の生産性が大きく向上。   


  • ツールだけを導入し、教育を現場任せにしたケース: 業務のやり方が旧態依然のまま変わり映えせず、十分な効果が出ない。   


白書のデータでも、「企業の訓練」と「労働者の学び直し」の両方を実施した企業ほど、

AI利用による仕事のパフォーマンスや労働環境の改善効果が圧倒的に高くなることが示されています。 歴史は繰り返します。今まさに押し寄せているAIの波において、「ツールだけ買って終わり」にするか「人材育成とセットで進めるか」が、数年後の企業の明暗を分けることになります。   



2. 中小企業こそ「経営戦略と人材戦略の連動」が必要

とはいえ、白書のアンケート調査をみると、日本の中小企業では「数年先の事業展開を考慮して、計画的な人材育成を行っている企業」はわずか1割前後に留まるという現実があります。   


「日々の業務が忙しくて、従業員に勉強させる余裕がない」 「自社の業務にどんなデジタルスキルが必要なのか整理できていない」   


こうした現場の生の声は、大阪市内のオフィス街から泉州エリアの製造業・サービス業の経営者様まで、日々の労務相談でも非常によく伺う悩みです。 しかし、人手不足が深刻化するこれからの関西の労働市場において、限られた人員で業績を維持・拡大するためには、

「業務の省力化・自動化」と「社員のリスキリング(再教育)」を両輪で回すことが唯一の解決策になります。   



3. 実務への落とし込み:国の「人材開発支援助成金」を賢く使う

「従業員にITやAIの訓練を受けさせたいが、教育費用も時間も確保できない」という中小企業を強力に後押しするのが、国の公的支援制度である「人材開発支援助成金」です。


職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練(OFF-JT)を実施した場合に、訓練経費の補助や訓練中の賃金助成を受けることができます。



中小企業が活用しやすい主なコース

  1. 事業展開等リスキリング支援コース

    新規事業の立ち上げや、デジタル化・DX(AIツール導入など)に伴う業務改革を行う際、社員に必要なスキルを習得させるための研修費用や賃金の一部が助成されます。


  2. 人材育成支援コース

    職務に関連する体系的な専門訓練を実施する場合に活用できます。



成果を出す秘訣は「就業規則と評価制度の連動」

助成金を活用する際は、事前に「職業訓練実施計画届」を作成・提出し、就業規則や社内規定を整えたうえで訓練を実施する必要があります。 単に外部セミナーを受けさせるだけでなく、「訓練修了後にどのような業務を担当させ、どう評価・処遇に反映させるか」までを社内ルールとして設計しておくことが、受給要件を満たすだけでなく、社員のモチベーション定着にも直結します。   



総括:AI時代だからこそ「人」への投資が最大の差別化になる

AIをはじめとするデジタル技術は、人間の仕事を奪うものではなく、「定型業務を効率化し、人間がより付加価値の高い仕事に集中するための武器」です。   


最新のテクノロジーを柔軟に取り入れつつ、それを使いこなす従業員の教育環境を整える。 自社の持ち出しコストを抑えるために国の助成金を賢く組み込み、就業規則や評価制度を

アップデートしていく——。 この一連の仕組みづくりこそが、これからの地域中小企業が生き残るための強固な防壁となります。   


大阪・泉州エリアで「自社の業務に合った人材育成計画を立てたい」「DXに伴う就業規則の改定や助成金活用を相談したい」という経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。



【次回予告】

連載第3回(最終回)は、『「事務職440万人余剰」の衝撃予測。AI時代に本当に不足する

「現場人材」と生き残るための「メタスキル」』をお届けします。   

「これまでの採用・人員配置のままで会社は生き残れるのか?」

「AIに代替されない人材の条件とは?」——。

2040年を見据えた労働市場の激変と、中小企業が今すぐ打つべき人事・評価の布石を徹底解説します。



【お問い合わせ】

労務管理・助成金・就業規則のご相談はお気軽にどうぞ。

岸和田THREE社労士事務所



 
 

最新記事

すべて表示
【2026年9月〜】労基署の監督指導方針が転換!36協定の「健康確保措置」をやっていない企業は要注意

「労働基準監督署(労基署)の調査といえば、とにかく残業時間を細かくチェックされて、45時間を超えていると一律で指導を受ける…」 そんなイメージをお持ちの経営者様や人事ご担当者様も多いのではないでしょうか。 しかし、2026年9月1日より、労基署による時間外労働等の監督指導方針が大きく見直されました。 今回の見直しによって「指導が甘くなった」と誤解されるケースもありますが、実はその逆です。これ

 
 

未来の常識を創造し、

社労士として経営の決断に伴走する。

「守り」の労務コンプライアンスから、「攻め」の組織開発・先端事業支援まで。

先を見据える経営者の隣で、一歩先の勝ち筋を共に築く戦略的労務パートナー。​

SNS更新しています
助成金受給額
簡易診断
大阪市中央区社労士

©2026 岸和田THREE社労士事務所 

bottom of page