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調剤薬局やドラッグストアを運営する経営者様・薬局オーナー様、採用時に交わす

「雇用契約書(労働条件通知書)」は、どのような内容になっていますか?


ネット等からダウンロードした一般的な正職員用のひな形をそのまま使っていたり、

昔作ったフォーマットをずっと使い回していたりすると、「土曜出勤の割増賃金(残業代)トラブル」「店舗間の急なヘルプ・異動による不満」「服薬指導以外の付随業務を拒否される」といった、予期せぬ労務トラブルへ発展するリスクがあります。


調剤薬局の現場では、一般的なオフィスワークとは異なる「変形労働シフト」「店舗間異動」「専門手当の構造」が存在するためです。


今回は、調剤薬局・ドラッグストアが「薬剤師」や「調剤事務」を採用する際に、必ず押さえておくべき雇用契約書のポイントとリスク回避法を社労士が詳しく解説します。


1. なぜ調剤薬局は「一般企業と同じ雇用契約書」ではリスクがあるのか?

調剤薬局の営業形態は、門前の医療機関(病院・クリニック)の診療時間に大きく左右されます。そのため、勤務シフトや労働時間の組み方が特殊になりがちです。


  • 土曜日(半日営業)と平日の所定労働時間が異なる


  • 店舗間のヘルプ出勤や、将来的な店舗移動が発生する


  • パート・アルバイト薬剤師の時給単価が高く、社保加入ルールの厳格化への対応が必要


  • 「服薬指導」だけでなく「在庫管理・開局準備・レセプト請求」などの付随業務が多い


これらを曖昧にしたまま「週40時間勤務」「月給◯◯万円」といった大まかな契約書で済ませてしまうと、後から「土曜日の残業代計算がおかしい」「ヘルプ出勤は契約違反だ」といった主張をされた際に、会社側が防衛できなくなってしまいます。


2. 薬剤師・調剤事務の「雇用契約書」で押さえるべき

4つのポイント

当事務所の実務をもとに、調剤薬局特有の重要チェックポイントを整理しました。


① 土曜日半日営業と「1ヶ月単位の変形労働時間制」の明示

調剤薬局で最もトラブルになりやすいのが、「平日と土曜日の所定労働時間の違い」です。


  • NGな記載例: 「9:30〜18:00(休憩60分)」とだけ書いてあり、土曜日の勤務時間が曖昧。


  • 正しい記載例:


    「1ヶ月単位の変形労働時間制の下、次の始業・終業時刻によるシフト制とする。


    ①平日:始業(09時30分) 終業(17時00分) 休憩時間60分


    ②土曜:始業(09時00分) 終業(12時30分) 休憩時間00分」


このように、曜日ごとのシフトパターンを明確に記載し、就業規則の変形労働時間制の条項と連動させておくことで、週40時間超の割増賃金トラブルを未然に防ぐことができます。


② 業務内容に「調剤・服薬指導『および付随業務』」を含める

薬剤師を採用する際、従事すべき業務欄に「調剤業務および服薬指導」としか書いていないケースが散見されます。


  • リスク: 「在庫管理や薬品発注、開局・閉局作業、清掃、薬局内の事務作業は契約に含まれていない」と拒否されるトラブル。


  • 対策:


    「調剤業務および服薬指導、薬事管理ならびにそれに付随する業務全般(在庫管理・開局準備・清掃等)」と具体的に明記しておくことで、薬局運営に必要な業務全般が正当な指示範囲であることを明確にします。


③ 「就業場所・業務内容の変更の範囲」の明記

(2024年4月労基則改正対応)

複数店舗を運営している薬局チェーンやドラッグストアでは、欠員補充やヘルプのための「店舗移動」が日常的に発生します。


2024年4月の法改正により、雇用契約書には「雇入れ直後の場所・業務」だけでなく「将来的な変更の範囲」の記載が義務化されました。


  • 記載例(就業場所の変更の範囲):


    「(雇入れ直後)○○○○薬局


    (変更の範囲)法人が運営する他店舗(◯◯市・◯◯市内の各薬局)への異動・ヘルプ勤務を命じることがある」


このように変更の範囲をあらかじめ書面で合意しておくことで、「聞いていない店舗へのヘルプ命令」による契約トラブルを防止できます。


④ 資格手当・職務手当と基本給の「明確な分離」

高収入になりやすい薬剤師の給与体系において、基本給と手当の内訳を有耶無耶にしておくと、残業代(割増賃金)の算定基礎で大きな損をしたり、未払い請求を受けたりするリスクがあります。


  • ポイント: 「基本給」「資格手当(薬剤師免許)」「職務手当(管理薬剤師手当等)」を明確に分け、どの手当が固定残業代(みなし残業)に該当するのか、あるいは割増賃金の算定基礎に含まれるのかを労働条件通知書で明示しておく必要があります。


3. パート・アルバイト薬剤師を採用する際の注意点

調剤薬局では、パートや非常勤の薬剤師を上手く活用している店舗も多いかと思います。パート雇用においては、以下の2点に特に注意が必要です。


  1. 契約期間と「更新基準」の明確化:


    有期雇用契約の場合は、契約期間(例:6ヶ月)とともに「自動更新なのか」

    「勤務成績や評価により更新判断するのか」という更新基準を必ず明記してください。


  2. 社会保険の適用拡大への対応:


    短時間労働者の社会保険適用拡大が進んでいるため、所定労働時間・日数を明確にし、社会保険の適用有無(有・無)を契約書上で正確に提示することが求められます。



まとめ:

正しい雇用契約書が、調剤薬局の安定経営を守る

調剤薬局やドラッグストアにおける雇用契約書は、単なる行政手続きの書類ではありません。


優秀な薬剤師や調剤事務のスタッフに安心して長く働いてもらい、万が一の労務トラブルから薬局経営とオーナー自身を守るための「最大の防衛ツール」です。


  • 「開局以来、ずっと昔に作った契約書を使い回している」


  • 「土曜日の変形シフトや残業代の計算が正しくできているか不安」


  • 「複数店舗へのヘルプや店舗異動のルールを整備したい」


このようなお悩みをお持ちの調剤薬局オーナー様・経営者様・管理薬剤師様は、一度当事務所までお気軽にご相談ください。

貴薬局の実務に即した「リスクゼロの雇用契約書」の作成・点検をサポートいたします。



■ 本記事の参照・情報元


  • 厚生労働省:労働基準法第15条(労働条件の明示)


  • 厚生労働省:2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました


  • 厚生労働省:自動車運転者・医療・調剤等における労働時間管理の適切な運用について



2026年9月1日より、労働基準監督署(労基署)による時間外労働の監督指導方針が大きく転換されました。


これまで現場の経営者や運行管理者を悩ませてきた「形式的な残業チェック」が見直される一方、運送業界(自動車運転者)に対する“実質的な健康管理・点検”のハードルはむしろ高まっています。


2024年問題以降、人手不足と労働時間規制のハサミで苦しむ運送業の現場において、今回の通達(2026年8月19日公表・9月1日運用開始)が何を意味するのか。

社労士の視点から分かりやすく解説します。


1. 何が変わった?「残業月45時間超」の一律指導が廃止に

これまでの労基署の指導では、特別条項付き36協定を適正に届け出ていたとしても、実残業時間が「月45時間」を超えているという事実だけで、形式的に指導票が交付されるようなケースが目立っていました。


しかし、2026年9月1日以降、この「時間数だけを見て一律に指導する方針」が廃止されました。


長距離輸送や突発的な荷待ちなどで、どうしても一時的に残業が伸びてしまう運送現場の実態を無視した「一律カットの指導」から、より実質的な過重労働防止へと行政の舵が切られたと言えます。


2. 労基署がこれから運送業で重点的に見る「本当のチェックポイント」

「一律指導がなくなったなら、ドライバーをもっと走らせても大丈夫か」というと、

答えは絶対にNOです。


指導方針の変更に伴い、労基署が今後、運送会社に対して重点的に点検・指導するのは

「36協定に定めた『健康及び福祉を確保するための措置』を実際に講じているか?」

という点です。


協定書に書いた「あの約束」、実際の現場でできていますか?

特別条項付き36協定を締結する際、以下のような「健康確保措置」を定めている運送会社が多いはずです。


勤務間インターバルの確保(終業から次の始業までの休息時間の確保)


深夜労働(22時〜5時)の回数制限・健康状態の把握


定期健康診断の確実な受診(特定業務従事者の年2回健診)


乗務前後の点呼における確実な体調確認と休息の付与


今回の改定により、「36協定に名前だけ書いてあって、ドライバーの運行シフトや点呼記録で実施が確認できない(証拠がない)」という運送会社は、かえって労基署から厳しく指摘されるリスクが高まりました。


3. 勘違いに注意!「運送業の改善基準告示・残業上限」は

1ミリも変わっていません

厚労省も明確に表明している通り、運送業に適用される「改善基準告示(拘束時間や休息期間のルール)」や、労働基準法上の残業上限規制(年960時間規制など)は一切変わっていません。


変わったのはあくまで「行政による運用の線引き(労基署の監督指導のやり方)」です。


「45時間を超えても咎められないんだ」と誤解して拘束時間管理を放置してしまうと、法律違反・改善基準告示違反として労基署やトラック協会からの監査対象になりますので十分にご注意ください。


4. 運送会社が今すぐやるべき「3つの現実的対策」

2026年9月以降の新しい労基署対応に向けて、運送業の社長・運行管理者が取り組むべき

アクションは以下の3点です。


  1. 自社の「36協定(特別条項)」の健康確保措置を再確認する


    協定書にどの健康確保措置を選択しているか、今すぐ確認してください。


  2. 「運行管理データ・点呼記録」と整合性を取る


    デジタコデータや点呼記録、タコグラフ等から、「勤務間インターバルが正しく取れているか」「深夜労働が過剰になっていないか」の客観的な証拠を残す運用を徹底しましょう。


  3. 公的支援(働き方改革推進支援センター・チーム訪問支援)の活用


    人手不足や荷主交渉、運行シフトの改善に悩む運送会社向けに、専門家による訪問支援などの公的施策も拡充されています。


まとめ:運送業の労務管理は「数字の帳尻合わせ」から「実質的な安全・健康管理」へ

今回の見直しは、運送会社にとって「無理な残業45時間カット」という一律の縛りから解放される前向きな変化となります。


しかし同時に、「ドライバーの事故を防ぎ、健康を守る仕組み(インターバルや点呼管理)が現場で本当に機能しているか」が厳しく問われる時代の到来を意味しています。


「うちの36協定の記載内容で大丈夫かな?」

「運行データと健康確保措置の連動のさせ方が正しく分からない」

とお悩みの運送会社の社長様・運行管理者様は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。運送業の実務に即した改善策をご提案させていただきます。


■ 本記事の参照・情報元

  • 厚生労働省:「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」

    (2026年8月19日公表・9月1日運用開始通達)

  • 厚生労働省:自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)


社労士事務所

お問い合わせ:050-8884-6500 three-sr@outlook.jp


運送業(トラック事業)の経営者様や運行管理者様から、最も多く寄せられる悲鳴のようなご相談が「新・改善基準告示の拘束時間と休息期間が、どうしても現場で守りきれない」というお悩みです。


2024年の法改正以降、労働基準監督署による監督指導や、トラック協会による「適正化巡回指導」のチェック項目は非常に厳格化しています。


「デジタコやアナログのデータで拘束時間がオーバーしてしまう」

「手書きの運転日報で管理しているが、集計が追いつかず違反に気づけない」

「荷待ち時間(順番待ち)のせいで、必要な休息期間が確保できない」


今回は、デジタコの有無にかかわらず、現場の運行管理で特にトラブルになりやすい「拘束時間・休息期間」の違反を防ぐ実務ポイントを分かりやすく解説します。



1. 再確認!「拘束時間」と「休息期間」の厳格な基本ルール

まずは、運行管理の基準となる基本ルール(原則)を正しく把握しておくことが重要です。


■ 拘束時間の原則ルール
  • 1日(24時間)の拘束時間: 原則13時間以内

    (最大15時間まで延長可能だが、14時間を超える回数には制限あり)


  • 1ヶ月の拘束時間: 原則274時間以内

    (年間の特別協定を結ぶ場合でも最大284時間以内/年間3,300時間以内)


■ 休息期間(勤務と勤務の間の休み)の原則ルール
  • 1日の継続休息期間: 原則「継続11時間以上」を与えるよう努めること

    (最低でも「継続9時間以上」が絶対条件)


「以前は8時間あければOKだった」という感覚のまま運用していると、継続9時間未満になった時点で労基署の指導対象となります。



2. 現場で最も揉める「荷待ち時間」と「休息期間」のカン違い

現場で違反が多発する最大の原因が「荷待ち時間(手持ち時間)」の取り扱いです。


「指定された時間まで荷置き場で待機している時間」


「前浜や倉庫で順番待ちをしている時間」


これらは、ドライバーが自由に利用できる時間(=労働から完全に解放されている時間)ではないため、法律上は「労働時間(拘束時間)」としてカウントされます。


ドライバー自身が「車で寝ていたから休息時間だ」と主張したり、日報にそう記載していても、労基署やトラック協会の調査ではすべて拘束時間として扱われ、違反判定を受けることになります。



3. 「デジタコ未導入(手書き日報)」の会社が注意すべき盲点

「うちはデジタコを入れていないから大丈夫」「手書きの日報だから適当に調整できる」と考えている方は非常に危険です。


労基署の調査官は、手書き日報の記載時間だけを見るわけではありません。


ETCの利用履歴(通過時刻)


ガソリンスタンドの給油給油レシート


荷主側の納品伝票(タイムスタンプ)


これらと日報の時間を照らし合わせ、不自然なズレがあれば「労働時間の把握が不適切」「日報の改ざん」として厳しい指導を受けます。


デジタコがない会社こそ、「紙の日報やアナタコから正確に実時間を集計し、把握する管理フロー」を社内に作っておくことが不可欠です。



4. 違反を防ぐための運行管理・実務3つの処方箋

現場の運行ラインを維持しながら改善基準告示をクリアするためには、以下の実務対応を進めましょう。


① 「分割休息特例」の正しい活用

どうしても継続9時間の休息が取れない場合、一定の要件のもとで「1回当たり継続3時間以上、合計10時間以上(または12時間以上)」に分割して与える「分割休息」の特例が認められています。自社の運行ルートにこの特例が適用できるかシミュレーションすることが有効です。


② 荷主企業への「荷待ち時間削減」の交渉と記録

拘束時間オーバーの主原因が「荷主都合の荷待ち」である場合、荷主に対して改善要請を行う必要があります。日報やタコグラフで「発着時刻・荷待ち時間」を正確に記録・可視化し、客観的なデータとして荷主交渉に活用します。


③ 運送業に特化した「就業規則・36協定」の再整備

一般企業の36協定や就業規則をそのまま使っている運送会社様が散見されます。運送業特有の特別条項付き36協定や、改善基準告示に準拠した賃金・労務規程を整備しておかなければ、万が一の労基署調査時に会社を守ることができません。


まとめ

運送業の労務管理は全業種の中で最も複雑であり、かつ労基署やトラック協会の調査リスクが最も高い分野です。デジタコを導入している会社はもちろん、手書き日報やアナタコで運用している事業者様ほど、事前のリスク管理が重要になります。


「自社の運行管理や日報集計が改善基準告示をクリアできているか不安だ」

「運送業に特化した36協定や就業規則を見直したい」という運送事業の経営者様は、

ぜひ一度当事務所までご相談ください。


※8月8日に公開した『【厚労省・最新公表】運送業の労基署監督指導結果を解説!違反率81.2%の実態と経営者が取るべき対策』と合わせてご覧いただくと、より理解が深まります。


【出典・一次情報】


岸和田THREE社労士事務所

お問い合わせ番号:050-8884-6500





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