補助金不交付のリスクも?親事業者が知っておくべき「労務費(人件費)の価格転嫁」とコンプライアンス
更新日:9月25日
「公取委(公正取引委員会)や中小企業庁のニュースは、自社の労務や人事にはあまり関係ない」
もしそうお考えの経営者様や人事担当者様がいらっしゃれば、今すぐその認識をアップデートする必要があります。
政府は、中小受託取引適正化法(取適法/旧下請法)違反で勧告を受けた企業に対して、国の補助金交付や公共工事・調達の入札から排除する方針を打ち出しました。
今回は、この最新ニュースの背景にある「労務費(人件費)の価格転嫁」と、親事業者(発注元)が今すぐ講じるべき労務コンプライアンスについて、社労士の視点からわかりやすく解説します。
1. なぜ今「価格転嫁」で補助金排除リスクが生じるのか?
政府が取適法違反に対するペナルティを強化した最大の理由は、「中小企業の賃上げ原資を確保するため」です。
最低賃金の引き上げや春闘により、企業の人件費(労務費)は上昇し続けています。しかし、下請け企業や受託事業者が「人件費が上がったので取引価格を引き上げてほしい」と請求しても、発注側(親事業者)が協議に応じず据え置くケースが後を絶ちません。
このような「労務費上昇分の不転嫁」は、取適法上の「買いたたき」に該当するリスクが高まります。
万が一、取適法違反で勧告を受けると、従来の「社名公表」によるイメージダウンだけでなく、「自社が申請予定だった国の補助金が出なくなる」「公共事業の入札から締め出される」という、経営に直結する致命的な不利益を被ることになります。
2. 「公取委の法律」と「社労士の労務管理」の深関係
一見すると経済産業省系の取引ルールの話に見えますが、本質は完全な労務問題です。
賃上げ原資と労務費指針
自社の従業員の賃上げを行うには、取引先からの適切な対価(価格転嫁)が必要です。政府が定めた「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に沿った交渉・運用の知識が欠かせません。
外注・フリーランス管理と「偽装請負」
取適法では、IT開発やコンテンツ制作、各種業務委託など「人件費や技能そのものを買う取引」へ監視の目が強まっています。「業務委託」として発注しているものの、実態として時間拘束や直接指示を出している場合、「偽装請負(労働法違反)」と「取適法違反」の双方からダブルで指摘されるリスクがあります。
3. 親事業者が今すぐチェックすべき3つのポイント
トラブルや罰則を防ぎ、適正な発注態勢を構築するために、以下の3点を確認しましょう。
[ 労務費上昇に伴う価格協議の場を設けているか
受注側から価格交渉の申し出があった際、理由なく拒否したり無回答のまま据え置いたりしていないか。
[ 発注書面(契約内容・支払期日)の明示が徹底されているか
発注時の書面交付義務や、納品から60日以内の支払期日ルールが現場で守られているか。
[ 外注先との関係が「雇用(労働者)」と誤解される実態になっていないか
業務委託契約でありながら、出社義務や細かな指揮命令を出していないか(名ばかりフリーランスの防止)。
4. まとめ:取引適正化と労務コンプライアンスの一体化を
今回の制度改正が示しているのは、「自社の社員に対する労働法遵守」だけでなく、「発注先や外注先に対する取引適正化」も一体となった労務コンプライアンスが求められる時代になったということです。
「自社の外注管理や契約プロセスが取適法や労働法に抵触していないか不安だ」
「下請け・フリーランスとの価格協議や契約書面の見直しを行いたい」
このようにお悩みのご担当者様・経営者様は、ぜひ一度当事務所までお気軽にご相談ください。
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