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【国交省・令和8年7月最新】トラック運送業の「適正原価」議論がスタート!最低賃金増・人件費上昇を乗り越える労務・価格交渉戦略

  • 岸和田THREE社労士事務所
  • 6 日前
  • 読了時間: 5分

更新日:3 日前

令和8年7月17日、国土交通省にて第1回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」が開催されました。

2024年問題以降、トラックドライバーの労働時間規制(年960時間)や改善基準告示の強化が進む中、物流業界では人手不足や人件費・燃料費の高騰が大きな課題となっています。


今回の検討会は、令和7年6月に成立・公布された「トラック適正化二法」に基づき、国が定める「適正原価」の具体的な算定方法や方向性を固めるための重要な第一歩です。

これは運送事業者はもちろんのこと、発注側である荷主企業(製造・卸売・建設など全産業)にとっても、今後の取引価格や予算管理に直結する非常にインパクトの大きい動向です。


今回は、公表された資料をもとに、この制度が目指す背景と、経営者が今から押さえておくべきポイントを整理します。


1. なぜ今「適正原価」が必要とされているのか?

背景にあるのは、物流業界における価格転嫁の厳しさと、全産業平均に及ばないトラックドライバーの賃金水準です。


中小企業庁の調査等によれば、トラック運送業は価格転嫁が最も進みにくい業種の一つとされており、赤字企業の割合も約半数に達しています。その要因として、以下のような構造的課題が指摘されてきました。

発注者(荷主)との力関係による運賃の据え置き

多重下請構造(中抜き)の常態化

安価で無理な条件を引き受けるダンピング事業者の存在

こうした状況を改善し、ドライバーの適切な賃金確保と業界の持続可能性を高めるため、「法的に適正原価を定め、それを下回る取引を制限する」という抜本的な規制が導入されることになりました。


2. 「適正原価」の算定式と、新たに加わる重要要素

検討会で示された適正原価の算出イメージは以下の通りです。

適正原価 = 運賃原価 + 委託手数料 + 料金原価 + 燃料サーチャージ + 実費

従来の「標準的運賃」でも、全産業平均を踏まえた人件費や車両償却費、燃料費などが考慮されていましたが、今回の「適正原価」では、新たに2つの重要な費用要素が組み込まれる案となっています。


① 輸送の安全確保のために必要な経費

価格競争によって安全対策が疎かにならないよう、独立した構成要素として盛り込まれます。

点検・車検費用や各種講習費だけでなく、ドラレコやデジタコの導入、任意保険料など、安全運行に欠かせない費用が評価対象となります。


② 事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資

単なる拡大投資ではなく、事業許可基準を継続して満たすために必要な資金です。

人材の確保・育成、労働環境の改善、BCP(事業継続計画)への投資など、将来にわたって経営を維持するための費用が原価として認められる方向です。


3. 今後のスケジュールと「5年ごとの許可更新」への影響

この「適正原価」制度は、法律の公布から3年以内(遅くとも令和10年6月まで)に全面施行される予定です。今回の検討会では、2026年12月を目途に提言案を取りまとめるスケジュールが進められています。


ここで最も留意すべきは、将来的に「適正原価を下回る価格での受託・委託を継続した場合、トラック事業者の許可更新(5年ごと)が認められなくなるリスクがある」という点です。


単なる「目安」だった標準的運賃とは異なり、適正原価は事業の存続に関わる強力な基準(ハードル)となります。また、適正原価を下回る運賃を強いる悪質な荷主に対しては、行政による是正指導(トラック・物流Gメン等による要請・勧告・公表)の対象となります。


4. 社労士の視点:経営者が「今から」準備すべきこと

この動きは、運送会社と荷主企業の双方に自社の労務・コスト構造を見直すきっかけを与えています。


運送事業者の皆様へ

最低賃金の改定や社会保険料の負担増など、人件費の上昇は今後も続きます。

「安さ」で勝負する経営から脱却し、自社の1時間あたり・1kmあたりの適正な運行原価(人件費・安全投資含む)を正確に試算・把握することが第一歩です。国が示す指標を根拠に、堂々と適正な運賃交渉を行える体制を整えていきましょう。


荷主企業(一般企業)の皆様へ

「運賃を安く抑えること」がリスクになる時代へ移行しています。不当な買いたたきはコンプライアンス違反や物流の停止(自社貨物が運べなくなるリスク)に直結します。

サプライチェーン全体で適正なコスト負担を受け入れ、自社・取引先双方の労働環境改善に協力していく視点が求められます。


まとめ

令和8年12月の検討会提言、そして今後の適正原価の告示に向けて、物流業界のルール改定は着実に前進しています。


「制度が変わってから慌てる」のではなく、自社の賃金体系や原価管理、取引条件の適正化に今から取り組んでいくことが、これからの時代に選ばれ続ける企業になるための鍵となります。


参考・出典資料(一次情報) 本記事で解説した検討会の詳細資料や関連法令については、下記の公的機関ページをご確認ください。


国土交通省

トラック運送業をとりまく現状及び最近の取り組み 002013675.pdf

標準的運賃について 002012605.pdf

適正原価の設定に向けた論点提示 002012606.pdf 今後の検討の進め方(想定)002012607.pdf


自社の就業規則の見直しや労務管理についてご相談・ご質問がある経営者様は、

お気軽にお問い合わせください。




 
 

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