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【社労士解説】プラットフォームワーカーと「労働者性」~厚労省・第6回研究会の最新論点と企業への影響~

  • 岸和田THREE社労士事務所
  • 16 時間前
  • 読了時間: 5分

近年、ギグワーカーやプラットフォームワーカーをはじめとするフリーランス的な働き方が急速に広がっています。

これに伴い、「実質的には労働者なのではないか?」「労働基準法を適用すべきか?」という「労働者性(使用従属性)」の判断基準について、厚生労働省の「労働基準法における『労働者』に関する研究会」で議論が進められています。


今回は、2026年(令和8年)7月17日に開催された「第6回 労働基準法における『労働者』に関する研究会」の配付資料に基づき、その最新の実態と今後の見通しについて分かりやすく解説します。


1. なぜ今、「労働者性」の判断が問題になっているのか?

従来の労働基準法における「労働者」の判断は、昭和60年(1985年)の報告書に示された基準(昭和60年報告)がベースとなっています。

しかし、近年では以下のような変化が生じています。

アプリやAI(アルゴリズム)による業務割り当てやルート提示

対面での指揮命令がないフルリモートやギグワーク

勤務時間や場所は自由だが、評価システム等による実質的な制約

このような「新しい働き方」に対して、昭和60年の判断基準をそのまま当てはめることが難しくなっており、予見可能性(企業や働く人があらかじめ判断できること)を高めるためのルール再整理が求められているのです。


2. プラットフォームワーカーの実態調査から見えたリアル

第6回研究会の資料では、事業者やワーカーへのヒアリング結果(実態調査)が報告されました。従来の判断要素に当てはめると、以下のような実態が見えてきます。

昭和60年報告の判断要素

実態調査から見えた主な傾向

① 業務オファーの拒否権

案件の拒否は原則自由であり、直接的なペナルティは基本的に見られない。

② 指揮監督の有無

直接の指揮命令はないが、アプリによる目的地通知や安否・トラブル確認用のGPS活用などが行われている。AIの提示ルートは任意利用が多い。

③ 時間・場所の拘束性

基本的に働く時間・場所は自由。ただしクライアントの要望による常駐案件も一部存在。

④ 代替性(代理稼働)

セキュリティや本人確認(顔認証等)の観点から、無断での代理稼働は制限されている。

⑤ 報酬の性質

稼働時間に比例するケースと、需要や天候に応じた「動的価格(ダイナミック・プライシング)」によるケースに分かれる。

⑥ 事業者性・専属性

業務端末や車両は自己負担が多いが、事故等の保険は事業者側が提供する傾向が増加。副業・掛け持ち層が多数派。

このように、従来の「典型的な労働者」とも「完全な事業主」とも言い切れない中間的な働き方が広がっていることが浮き彫りになりました。


3. 今後の法改正・議論の3つのポイント

研究会で示された「これまでの議論の整理(案)」では、以下の重要なポイントが議論されています。

① 欧米・EUの動向(「労働者性の推定」規定など)

海外では、プラットフォーム企業に対して「原則として労働者と推定し、企業側が反証できない限り労働者として扱う」といった強力なルール(EU指令など)を導入する動きがあります。日本においてこのような仕組みを導入すべきか否か、罰則規定との兼ね合いも含めて慎重に議論されています。

②「業務上必然な指示・拘束」の評価

例えば、「配送先を指定する」「安全のためのルールを守らせる」「演奏・運送の時間を指定する」といった行為は、注文者として当然の指示なのか、それとも労働者としての指揮監督なのか。これらをどう切り分けて評価するか(ニュートラルに扱うか)が議論されています。

③ 行政(労基署)における判断基準の明確化

裁判まで行かなくても、労基署や企業の現場で「この契約は労働者にあたるのか?」を迅速かつ的確に判断できるよう、明確なガイドラインやチェックリストの策定が検討されています。


4. 企業・事業主が今から意識しておくべき対策

今後、厚生労働省からガイドラインの提示や判断基準のアップデートが行われる見込みです。業務委託や請負、サロンや配送などのプラットフォーム事業を運用している企業様は、以下の点に注意が必要です。


  1. 実質的な「指揮監督」になっていないかの見直し

    • 契約書上は「業務委託」であっても、アプリの通知やチャット等で「細かい時間指定や作業指示」を過度に行っていないか確認する。

  2. ペナルティや評価システムの透明性

    • 業務拒否に対する不利益(アカウント停止や評価下げ)が実質的な強制力・拘束力を持っていないか整理する。

  3. 契約書と運用実態の一致

    • 契約書の内容だけでなく、「実際の働き方(現場の運用)」が重視されます。定期的に現場の実態をヒアリング・点検することが不可欠です。


5. 「社労士の視点:今、企業に求められるガバナンス」

プラットフォームワークをはじめとする多様な働き方の進展に伴い、「業務委託か、労働者か」という境界線はより緻密に判断される時代に入っています。


「うちは業務委託契約だから大丈夫」と思っていても、実態によって「労働者」と判断された場合、過去に遡って残業代や社会保険の適用が求められるリスクもあります。

自社の業務委託契約のリスクを点検したい

フリーランス新法や労働者性の最新基準に合わせた社内規定を作りたい

といったご相談がございましたら、お問い合わせください。



(※2026年7月時点の厚生労働省「第6回 労働基準法における『労働者』に関する研究会」資料を基に作成しています。今後の法改正やガイドラインの動向に引き続き注目が必要です。)

 
 

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