休職期間満了による退職扱いの限界 —— JR東海事件から考える「会社を守る誠実なプロセス」
- 岸和田THREE社労士事務所
- 2 日前
- 読了時間: 2分
JR東海(退職)事件
【判例概要】
JR東海の従業員が脳内出血で倒れ、会社の休職・復職判定委員会の判定に基づいて病気休職中であったが、本人の復職の意思表示にもかかわらず、三年の休職期間満了により退職扱いと決定された。これに対し右退職扱いを違法として従業員としての地位確認等を求めたケース。裁判所は、使用者は配置換え等により現実に配置可能な業務の有無を検討すべきであり、復職不能とした判断には誤りがあるとして、就業規則に基づく退職扱いを無効(請求認容)とした。(労働基準法第2章 / 労働判例771号25頁)
改めて考える、労働判例が突きつける実務の本質
現場で数々の労務管理や企業ガバナンスに向き合ってきた中で、この「JR東海(退職)事件」の判例について、改めてその重みを深く考えています。
就業規則に「休職期間が満了した場合は自動的に退職とする」と明記していれば、会社は当然に契約を終了できると考えがちです。
しかし、本判例が示している本質は、「就業規則の文字通りに処理したか」ではなく、「会社として、その労働者を残すための誠実な検討を行ったか」というプロセスの有無です。
会社の判定委員会や医師が「従来の業務(この場合は乗務員等)に戻るのは困難」と判断した場合であっても、裁判所は以下の点を冷徹に観察します。
従来の業務以外の「軽易な業務」や「配置転換」の可能性を具体的に検討したか
本人の意欲や回復状況に応じた、段階的な復職プランを模索したか
それらの検討過程が、客観的な記録として残されているか
冷酷な処理ではなく、「誠実なプロセス」こそが防波堤になる
私傷病やメンタルヘルスによる休職トラブルにおいて、会社側が「規定通りです」と突っぱねてしまうと、後に地位確認請求(裁判)を起こされた際、非常に厳しい立場に立たされます。
本当に会社を守る労務管理とは、従業員を冷酷に切り捨てることではありません。
「会社としてどこまで配慮し、どこまで検討したのか」という誠実な観察と記録(ガバナンス)を日頃から積み重ねておくことこそが、結果として最大の法的な防波堤となります。
休職・復職の運用においては、規則の文面だけを追うのではなく、事案ごとの「プロセスの構築」を丁寧に行うことが求められます。


