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【2026年最新】第73回中央最低賃金審議会資料(6/23発表)が示す、過去最大「最賃引上げ」の裏に潜む3つの深刻な課題

岸和田THREE社労士事務所
6月25日
読了時間: 4分

先日、2026年6月23日に開催された「第73回中央最低賃金審議会」の資料が公開されました。


そこでは、令和7年度の最低賃金改定について「全国加重平均1,121円、66円の増額」という過去最大の引上げ額となったポジティブな側面が注目される一方で、制度の運用面においてこれまでにない深刻な課題や歪みが浮き彫りになっています。


今回は、この最新の審議会資料から読み解く、最低賃金改定の舞台裏で起きていた「3つの論点」と今後の構造改革の必要性について分かりやすく整理していきます。


論点1:「最下位になりたくない」という心理がもたらした、地域実態との乖離

今回の審議で最も特徴的だったのが、39道府県で中央が示した目安額を上回る答申が出された点です。さらにそのうち11県では、目安を10円以上も上回る大幅な上乗せが行われました。


この背景にあるのは、近隣県との深刻な労働力獲得競争や、「他県の後塵を拝したくない(最下位を回避したい)」という心理的な駆け引きです。


⚠️ ここにある課題

最低賃金は本来、「生計費」「賃金」「支払い能力」という法定3要素に基づくデータ重視の審議が原則です。しかし今回は、他県の動向を伺うために「審議日程を後ろ倒しにする」といった動きが見られ、本来の原則が損なわれかねない状況に陥っています。


💡 今後の対応方針

今後は、大幅な上乗せを行う場合にはその客観的な理由を明確に示すことや、前年度の引上げが地域経済に与えた影響を公労使(公益・労働者・使用者)でしっかり検証した上で翌年の審議を行う仕組みづくりが必要とされています。


論点2:「金額を上げる代わりに、実施を遅らせる」という異例のトレードオフ

今回、実務や労働現場で最も大きな議論を呼んだのが「発効日のばらつき(大幅な後ろ倒し)」です。


例年であれば10月中に発効されるのが一般的ですが、令和7年度は27府県で11月以降にずれ込み、さらに6県では令和8年1月1日以降まで遅れるという異例の事態となりました。


⚠️ 金額と発効日の「交渉材料」化

ここから見えてくる実態は、「引上げ額(金額)を確保する代わりに、発効日を遅らせて経営側の負担を猶予する」という、いわば金額と発効日のトレードオフのような運用が行われたということです。


🚨 懸念されるポイント

これにより、名目上の引上げ額は大きく見えても、実際に労働者の手元にお金が入る時期が遅れるため、実際の効果との間に大きな乖離が生じています。特に現在の物価高局面においては、実質的な生活下支え効果が低くなってしまうという本末転倒な問題が指摘されています。


論点3:労使双方への影響 〜温度差とモチベーションへの懸念〜

発効日の遅れは、経営側と労働者側で非常に対照的な影響をもたらしています。調査結果からもその温度差が見て取れます。


経営側(企業)の視点

約8割の企業は「特に影響はない」と回答。一部の企業からは「賃上げ原資の確保や、システム変更などの準備期間が確保できた」と肯定的に受け止める声もありました。


労働者側の視点

一方で、約3割以上の労働者が賃上げ時期が「遅れた」と実感しています。その中には、「仕事へのモチベーション低下」や「家計への悪影響」を直接訴える切実な声が一定数存在しています。


経営側にとっては猶予期間であっても、労働者にとっては日々の生活に直結する問題であり、職場のエンゲージメント低下につながるリスクをはらんでいます。


まとめ:単なる「金額の議論」を超えた構造改革のフェーズへ

今回の改定は、最低賃金の大幅な引上げという「目標」こそ達成しつつあるものの、そのプロセスにおいて「地域間格差の拡大」や「予見可能性の低下」といった新たな歪みを生む結果となりました。


ただ金額をいくらにするかという目先の議論は、すでに限界を迎えているのかもしれません。


今後は、従来の「A・B・C」といったランク区分のフレームワーク自体を見直すことや、EU指令などで示されている「賃金中央値の60%」といった国際的な指標を日本にどう落とし込んでいくかなど、より大局的かつ構造的な改革が求められている段階に突入したと言えます。

 
 

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