【調剤薬局・ドラッグストア向け】変形労働や土曜シフトのトラブルを防ぐ!薬剤師・調剤事務の「正しい雇用契約書」の作り方
- 岸和田THREE社労士事務所
- 10 分前
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調剤薬局やドラッグストアを運営する経営者様・薬局オーナー様、採用時に交わす
「雇用契約書(労働条件通知書)」は、どのような内容になっていますか?
ネット等からダウンロードした一般的な正職員用のひな形をそのまま使っていたり、
昔作ったフォーマットをずっと使い回していたりすると、「土曜出勤の割増賃金(残業代)トラブル」「店舗間の急なヘルプ・異動による不満」「服薬指導以外の付随業務を拒否される」といった、予期せぬ労務トラブルへ発展するリスクがあります。
調剤薬局の現場では、一般的なオフィスワークとは異なる「変形労働シフト」「店舗間異動」「専門手当の構造」が存在するためです。
今回は、調剤薬局・ドラッグストアが「薬剤師」や「調剤事務」を採用する際に、必ず押さえておくべき雇用契約書のポイントとリスク回避法を社労士が詳しく解説します。
1. なぜ調剤薬局は「一般企業と同じ雇用契約書」ではリスクがあるのか?
調剤薬局の営業形態は、門前の医療機関(病院・クリニック)の診療時間に大きく左右されます。そのため、勤務シフトや労働時間の組み方が特殊になりがちです。
土曜日(半日営業)と平日の所定労働時間が異なる
店舗間のヘルプ出勤や、将来的な店舗移動が発生する
パート・アルバイト薬剤師の時給単価が高く、社保加入ルールの厳格化への対応が必要
「服薬指導」だけでなく「在庫管理・開局準備・レセプト請求」などの付随業務が多い
これらを曖昧にしたまま「週40時間勤務」「月給◯◯万円」といった大まかな契約書で済ませてしまうと、後から「土曜日の残業代計算がおかしい」「ヘルプ出勤は契約違反だ」といった主張をされた際に、会社側が防衛できなくなってしまいます。
2. 薬剤師・調剤事務の「雇用契約書」で押さえるべき
4つのポイント
当事務所の実務をもとに、調剤薬局特有の重要チェックポイントを整理しました。
① 土曜日半日営業と「1ヶ月単位の変形労働時間制」の明示
調剤薬局で最もトラブルになりやすいのが、「平日と土曜日の所定労働時間の違い」です。
NGな記載例: 「9:30〜18:00(休憩60分)」とだけ書いてあり、土曜日の勤務時間が曖昧。
正しい記載例:
「1ヶ月単位の変形労働時間制の下、次の始業・終業時刻によるシフト制とする。
①平日:始業(09時30分) 終業(17時00分) 休憩時間60分
②土曜:始業(09時00分) 終業(12時30分) 休憩時間00分」
このように、曜日ごとのシフトパターンを明確に記載し、就業規則の変形労働時間制の条項と連動させておくことで、週40時間超の割増賃金トラブルを未然に防ぐことができます。
② 業務内容に「調剤・服薬指導『および付随業務』」を含める
薬剤師を採用する際、従事すべき業務欄に「調剤業務および服薬指導」としか書いていないケースが散見されます。
リスク: 「在庫管理や薬品発注、開局・閉局作業、清掃、薬局内の事務作業は契約に含まれていない」と拒否されるトラブル。
対策:
「調剤業務および服薬指導、薬事管理ならびにそれに付随する業務全般(在庫管理・開局準備・清掃等)」と具体的に明記しておくことで、薬局運営に必要な業務全般が正当な指示範囲であることを明確にします。
③ 「就業場所・業務内容の変更の範囲」の明記
(2024年4月労基則改正対応)
複数店舗を運営している薬局チェーンやドラッグストアでは、欠員補充やヘルプのための「店舗移動」が日常的に発生します。
2024年4月の法改正により、雇用契約書には「雇入れ直後の場所・業務」だけでなく「将来的な変更の範囲」の記載が義務化されました。
記載例(就業場所の変更の範囲):
「(雇入れ直後)○○○○薬局
(変更の範囲)法人が運営する他店舗(◯◯市・◯◯市内の各薬局)への異動・ヘルプ勤務を命じることがある」
このように変更の範囲をあらかじめ書面で合意しておくことで、「聞いていない店舗へのヘルプ命令」による契約トラブルを防止できます。
④ 資格手当・職務手当と基本給の「明確な分離」
高収入になりやすい薬剤師の給与体系において、基本給と手当の内訳を有耶無耶にしておくと、残業代(割増賃金)の算定基礎で大きな損をしたり、未払い請求を受けたりするリスクがあります。
ポイント: 「基本給」「資格手当(薬剤師免許)」「職務手当(管理薬剤師手当等)」を明確に分け、どの手当が固定残業代(みなし残業)に該当するのか、あるいは割増賃金の算定基礎に含まれるのかを労働条件通知書で明示しておく必要があります。
3. パート・アルバイト薬剤師を採用する際の注意点
調剤薬局では、パートや非常勤の薬剤師を上手く活用している店舗も多いかと思います。パート雇用においては、以下の2点に特に注意が必要です。
契約期間と「更新基準」の明確化:
有期雇用契約の場合は、契約期間(例:6ヶ月)とともに「自動更新なのか」
「勤務成績や評価により更新判断するのか」という更新基準を必ず明記してください。
社会保険の適用拡大への対応:
短時間労働者の社会保険適用拡大が進んでいるため、所定労働時間・日数を明確にし、社会保険の適用有無(有・無)を契約書上で正確に提示することが求められます。
まとめ:
正しい雇用契約書が、調剤薬局の安定経営を守る
調剤薬局やドラッグストアにおける雇用契約書は、単なる行政手続きの書類ではありません。
優秀な薬剤師や調剤事務のスタッフに安心して長く働いてもらい、万が一の労務トラブルから薬局経営とオーナー自身を守るための「最大の防衛ツール」です。
「開局以来、ずっと昔に作った契約書を使い回している」
「土曜日の変形シフトや残業代の計算が正しくできているか不安」
「複数店舗へのヘルプや店舗異動のルールを整備したい」
このようなお悩みをお持ちの調剤薬局オーナー様・経営者様・管理薬剤師様は、一度当事務所までお気軽にご相談ください。
貴薬局の実務に即した「リスクゼロの雇用契約書」の作成・点検をサポートいたします。
■ 本記事の参照・情報元
厚生労働省:労働基準法第15条(労働条件の明示)
厚生労働省:2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました
厚生労働省:自動車運転者・医療・調剤等における労働時間管理の適切な運用について



