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「患者からの理不尽な暴言や長時間の拘束…『調剤応需義務』があるからと諦めていませんか?」


調剤薬局の現場において、長年大きな課題となってきた悪質なカスタマーハラスメント(カスハラ)。「患者だから断れない」「薬剤師法で調剤を拒否できないから…」と、現場の薬剤師が一人で抱え込み、精神的に追い詰められて離職してしまうケースが後を絶ちません。


こうした現場の窮状を受け、厚生労働省医薬局長より「薬剤師の調剤応需義務等について」(医薬発0708第1号)という重要な通達が発出されました。


本記事では、この最新通達のポイントと、理不尽なカスハラから大切なスタッフと薬局を守るために経営者・管理薬剤師様が今すぐ取り組むべき労務対策について分かりやすく解説します。


1. 厚労省通達の要点:何が変わったのか?

薬剤師法第21条には「正当な理由がなければ調剤の求めを拒否してはならない(調剤応需義務)」と定められています。

今回の通達では、どのような場合に調剤を拒否することが「正当な理由」として認められるかについての明確な判断基準が示されました。


重要な判断の柱は以下の2点です。


① 薬局における「カスタマーハラスメント」への該当性

労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の考え方と同様に、「顧客等の言動であって、業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害される」行為であるか否かで判断します。


② 患者との「信頼関係の喪失」の有無

カスハラに該当する行為があった場合でも、薬剤師による調剤の基礎となる患者との信頼関係が既に失われていると認められるかで判断します。


  • 【正当な拒否理由となる具体例】


    調剤行為そのものと直接関係のないクレームや迷惑行為(暴言・長時間の拘束・土下座要求など)が継続している場合


    店舗側が警告書を発出したり、複数名で説得を行ったりしたにもかかわらず、迷惑行為が継続・改善されない場合


※なお、患者に精神疾患等の背景がある場合は、医療機関や行政等と連携した上での慎重な判断が求められます。



2. 「毅然と対応する」ために薬局側に求められる事前準備

今回の通達により、「カスハラ患者に対して調剤を拒否する道」が明確に開かれました。

しかし、ただ現場の判断で「お断りします」と言えば済むわけではありません。


万が一、拒否した患者から行政や第三者機関へクレームが入った際、「正当な拒否であった」と証明するためには、薬局側があらかじめ組織としての体制・手順を整えておく必要があります。



社労士の視点から、薬局が今すぐ進めるべき3つの対策を挙げます。


対策①:現場任せにしない「カスハラ対応マニュアル」の策定

一人で対応させず、「どのような言動があったら複数人で対応するか」「どの段階で管理薬剤師・本部へ引き継ぐか」「警察通報の基準」などを明記したマニュアルを作成・周知します。


対策②:警告書の発出スキームと「対応記録」の標準化

通達の例にもある通り、「警告を出したが改善されなかった」というプロセスが重要視されます。日頃の迷惑行為の時系列記録(日時・発言内容・対応人数)を残し、書面で警告を出せる手続きを組織として準備しておく必要があります。


対策③:就業規則および「店舗内掲示」の整備

「当薬局では、スタッフへの暴言・ハラスメント行為に対しては毅然とした対応(調剤のお断り・警察への通報等)を行います」という基本方針を、

就業規則や店舗内のポスター等で明確に打ち出しておくことが、ハラスメントの抑止力とスタッフの安心感に直結します。



3. 経営者・管理薬剤師様へ(当事務所のサポート)

売り手市場が続く薬剤師の採用・定着において、「スタッフを理不尽なハラスメントから守れる職場かどうか」は、今や選ばれる薬局になるための最重要課題です。


当事務所では、医療機関・調剤薬局様の労務管理を強力にバックアップいたします。


薬局の実態に合わせた「カスタマーハラスメント対応マニュアル」の作成


万が一の際の「警告書」文面作成・対応プロセスの構築アドバイス


就業規則の改定およびハラスメント防止体制の構築


スタッフ向けのカハラ初期対応マニュアル


「うちの店舗の対応マニュアルを見直したい」

「困った患者への具体的な対応手順を相談したい」という経営者・管理薬剤師様は、

お気軽に当事務所までご相談ください。



【出典】


厚生労働省医薬局長通知(令和8年7月8日付け医薬発0708第1号)

「薬剤師の調剤応需義務等について」26年7月8日掲載001720004.pdf


2026年10月1日の最低賃金改定(大阪1,231円、京都1,178円など)に向けて、

社内の賃金見直しを進めている企業も多いのではないでしょうか。


「人件費の負担を少しでも減らしたい」「この機会に国の助成金を活用したい」と考えたとき、候補に挙がるのが「業務改善助成金」「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」の2つです。


しかし、経営者の方から「結局どっちを使えばいいの?」「両方の違いがよく分からない」というご相談をいただきます。


今回は、それぞれの特徴・メリット・注意点を徹底比較し、自社に合った助成金の選び方を分かりやすく解説します!


1. ひと目でわかる!2大助成金の比較表

まずは、両者の全体像と違いを一覧で整理しました。


比較項目

業務改善助成金(設備投資型)

キャリアアップ助成金(人件費補填型)

主な目的

生産性向上(設備投資)と賃上げ

有期雇用者(パート等)の処遇改善

主な要件

事業場内最低賃金ラインの賃上げ + 設備導入

パート・アルバイト等の就業規則改定で3%以上賃上げ

助成額

買った設備代金の一部補助(最大9/10)

1人あたり4万〜7万円の定額支給

資金の使い道

設備投資費用への充当

使い道自由(賃上げ原資に直接使える)

こんな企業向け

POSレジ・専用ソフト・機械の導入や改装をしたい

設備投資の予定はなく、パート等の人数が多い


2. 業務改善助成金(設備投資型)が向いている企業

「業務改善助成金」は、「賃上げ」と「業務効率化(設備投資)」をセットで行う企業に最適な制度です。


このような企業に

  • POSレジ、勤怠・給与計算システム、自動券売機、最新の施術・調理機器などを導入したい


  • 作業場のレイアウト変更や店舗改装を行いたい


  • 最低賃金(またはその近辺)で働いているスタッフが数名いる


注意すべきポイント

  • 事前申請が絶対条件: 設備の購入(発注)や賃上げを行うに、国へ申請して承認(交付決定)を受ける必要があります。10月1日に給与を上げてしまってからでは申請できません。


3. キャリアアップ助成金(人件費補填型)が向いている企業

「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」は、パートやアルバイトなどの有期雇用労働者を多く抱え、純粋に賃上げの持ち出し(人件費負担)を減らしたい企業に最適です。


このような企業に

  • 新たな設備投資やシステム導入の予定は特にない


  • パートやアルバイトの人数が多く、一律で時給をベースアップ(3%以上)したい


  • 助成金をそのまま「給与の補填」として自由に使いたい


注意すべきポイント

  • 計算基準のミスの多発: 10月の新最低賃金(大阪1,231円など)を下回る賃上げ設定はNGです。現行の最低賃金ではなく「改定後の賃金ルール」を踏まえた上で、適切に3%以上のアップ率を計算して就業規則(賃金規程)を改定する必要があります。



4. 自社に合うのはどっち?選び方の判断基準

迷ったときは、以下のフローで検討してみましょう。


  1. 「これから買いたい設備・ソフトや、業務効率化に繋がる設備投資があるか?」


    YES なら 「業務改善助成金」 を第一候補に!


  2. 「設備投資の予定はなく、パート・バイトの賃上げ原資を確保したいか?」


    YES なら 「キャリアアップ助成金」 を第一候補に!




まとめ:10月発効に間に合わせるなら「今すぐ」準備を!

どちらの助成金を選択するにしても、就業規則(賃金規程)の改定や事前申請、賃金の計算シミュレーションなど、10月1日の改定日までに完了させておくべき手続きが数多く存在します。


「自社の場合、どちらを活用するのが一番メリットが大きいか」「併用は可能か」など、気になる方はぜひお早めにご相談ください。

自社の状況に合わせた最適なプランをご提案いたします。


※出典:

・厚生労働省「キャリアアップ助成金」



2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金の改定について、厚生労働省の中央最低賃金審議会の目安(全国加重平均55円引き上げ)を受け、

関西各府県の地方最低賃金審議会から答申が出揃いつつあります。


改定の実施予定日は本年も10月1日が見込まれており、残された準備期間は約2ヶ月です。



今回は、大阪・京都をはじめとする関西主要エリア(兵庫・奈良含む)の改定額のポイントと、企業が今すぐ取り組むべき実務上の対策を整理してお伝えします。



1. 関西主要エリアの最低賃金改定一覧

今回の目安改定(大阪+54円、京都・兵庫・奈良+56円)を反映した、関西主要エリアの改定後の金額状況は以下の通りです。


都道府県

現行(改定前)

改定後(答申額)

引き上げ額

実施予定時期

大阪府

1,177円

1,231円

+54円

2026年10月1日予定

京都府

1,122円

1,178円

+56円

2026年10月1日予定

兵庫県

1,116円

1,172円

+56円

2026年10月1日予定

奈良県

1,051円

1,107円

+56円

2026年10月1日予定

※滋賀県(1,080円→1,136円予定)、和歌山県(1,045円→1,101円予定)など、

近畿圏全体で50円を超える大幅な引き上げが続く見通しです。



2. 経営者が注意すべき点

今回の改定に伴い、実務上で特に注意が必要なのが以下の2点です。


① 「時給制」以外のスタッフ(月給者)の割れチェック

最低賃金はパート・アルバイトの時給だけでなく、月給制の正社員や契約社員にも適用されます。


  • チェック方法:


    (基本給 + 対象となる手当) ÷ 1か月の平均所定労働時間 = 換算時給


  • ※役職手当や資格手当は算入できますが、通勤手当・家族手当・精皆勤手当・時間外手当などは最低賃金の対象外となるため除外して計算する必要があります。




② 「賃金の逆転・格差縮小」に伴う現場の不満

最低賃金ギリギリのラインだけを引き上げると、「新人パートの時給と、勤続3年のベテランパートの時給がほぼ同じになる」という事態が発生します。


不公平感からモチベーション低下や離職に繋がるケースが多いため、最低賃金層だけでなく全体の賃金テーブル(給与体系)のバランスをどう維持するかが大きな課題となります。



最低賃金の対象となる賃金の範囲(厚生労働省). 出典: 厚生労働省
最低賃金の対象となる賃金の範囲(厚生労働省). 出典: 厚生労働省

★ ポイント

上図のように、最低賃金の判定で緑色枠(対象)に含まれるのは「基本給」と「一部の諸手当」のみです。

通勤手当・家族手当・精皆勤手当や残業代はすべて計算から除外しなければならないため、「額面(総支給)では足りているのに、手当を引いたら最低賃金割れしていた」というミスが非常に多く発生します。



3. 10月までに企業が取るべき3つの実務対策

改定までに残された時間で、優先して進めるべき対策は次の3つです。


  1. 賃金シミュレーションの実施


    全従業員の給与データを抽出し、10月時点で最低賃金を下回るスタッフが何名いるか、引き上げた場合の人件費増加額がいくらになるかを速やかに算出する。


  2. 「業務改善助成金」などの活用検討


    事業場内で最も低い賃金を引き上げ、同時に設備投資やITツール導入(省力化)を行う場合、国の「業務改善助成金」を活用できる可能性があります。事前の申請が必要となるため早めの点検が不可欠です。


  3. 就業規則(賃金規程)の見直しと周知


    改定に伴い基本給や手当の組み替えを行う場合は、就業規則の改定手続きおよび従業員への説明を10月までに完了させておきます。



まとめ

近年の最低賃金引き上げは過去最高水準レベルが続いており、企業経営への影響はますます大きくなっています。


単なる「コスト増」として捉えるのではなく、価格転嫁や業務効率化、助成金の活用とセットで検討し、10月の発効に向けて余裕を持った準備を進めていきましょう。


※出典:厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額の改定目安」および各地方最低賃金審議会答申



※10月からの人件費増加を国からの助成金で乗り切りたい方は、こちらの比較記事もあわせてご覧ください。

➔ [10月の最低賃金引き上げ、自社に合うのはどっち?『業務改善助成金(設備投資型)』vs『キャリアアップ助成金(人件費補填型)』]



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