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前回の記事(8月12日公開)では、関西エリアを中心とした2026年度(令和8年度)の最低賃金改定の動向と、10月までに企業が確認すべき実務チェックをお伝えしました。


8月中旬に入り、全国各地の地方最低賃金審議会から答申が次々と発表されています。

中央審議会が示した全国加重平均「1,176円(+55円)」の目安 を超えて引き上げる県(宮城・福島・新潟・石川・山口など)も相次いでおり、企業の人件費負担は想定以上のインパクトとなっています。


今回は第2弾として、全国主要エリアの最新状況を整理するとともに、10月の賃上げコストを国からの助成金でカバーするための「業務改善助成金」と「キャリアアップ助成金」の具体的な選び方を徹底解説します。


1. 全国の主要エリア・改定答申状況(最新まとめ)

全国的に「時給1,100円〜1,200円超え」が当たり前の時代に入りました。代表的な地域の答申額(見込み)は以下の通りです。


エリア

都道府県

現行時給

改定後(答申額)

引き上げ額

発効予定日

首都圏

東京都

1,226円

1,280円

+54円

10月1日予定

関西

大阪府

1,177円

1,231円

+54円

10月1日予定

関西

京都府

1,122円

1,178円

+56円

10月上旬予定

東海

愛知県

1,140円

1,195円

+55円

10月1日予定

地方

静岡県

1,097円

1,154円

+57円(目安+1)


地方

山口県

1,043円

1,101円

+58円(目安+2)


※静岡県や山口県のように、中央目安(Bランク+56円)を上回る上乗せ答申を出す自治体が目立っています。また、発効予定日も地域によって「10月1日」「10月8日」「10月15日」など微妙に異なるため注意が必要です。



2. 自社に合うのはどっち?『業務改善助成金』『キャリアアップ助成金』

「10月からのコスト増を国からの助成金で乗り切りたい」という企業が検討すべき代表的な制度が以下の2つです。


比較項目

業務改善助成金(設備投資型)

キャリアアップ助成金(人件費補填型)

メインの目的

生産性向上のための設備投資+賃上げ

有期雇用・パート等の基本給アップ

対象経費

ITツール、POSレジ、機械設備、店舗改修等

なし(引き上げた人件費そのものが対象)

助成額・助成率

設備投資額の2/3〜9/10(上限あり)

賃上げ率に応じ1人あたり数万円〜(定額)

おすすめの企業

「レジ更新や業務効率化システムを導入したい」

「設備投資の予定はなく、純粋に時給を引き上げる」

3. どちらを選ぶべきか?判断のチェックリスト

① POSレジや業務ソフト、作業機器などを購入するなら ➔ 「業務改善助成金」

「時給を〇〇円上げる」と同時に、「新しいPOSレジを入れる」「予約管理システムを導入する」「PCや専用機械を新調する」といった計画がある場合は、業務改善助成金が最適です。購入費用に対し高い補助率(最大90%)が適用されます。


② 特に大きな設備投資はせず、雇用保険加入者の時給を底上げするなら ➔ 「キャリアアップ助成金」

「買うものはないが、10月の最低賃金改定に合わせてパートや契約社員の時給を5%以上ベースアップする」という場合は、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)が使いやすい選択肢です。



4. 「スケジュールの注意すべき点」

どちらの助成金を使う場合でも、最大の注意点は「事前の計画書提出が必須」であるという点です。


10月1日に時給を上げた後から「助成金を申請したい」場合、事前申請をしていない場合は1円も受け取ることができません


  1. 社内での賃金シミュレーション


  2. 計画書の作成および労働局の提出


  3. 就業規則(賃金規程)の改定・周知


  4. 10月からの賃金引き上げと支給


このステップを10月1日(または各都道府県の発効日)までに完了させるためには、まさに今(8月下旬〜9月上旬)が準備の最終タイミングです。


まとめ

「自社の場合、どちらの助成金が使えるか」「いくら受給できるか」は、現在の従業員の時給単価、雇用形態、今後の設備投資予定によって異なります。


10月の改定目前で慌てないよう、まずは現在の賃金台帳をお手元に、お早めにご準備・ご相談ください。


【出典・一次情報】



昨日(2026年8月19日)、厚生労働省より「時間外労働等に係る監督指導及び相談支援の見直し」が正式発表されました。

本年9月1日より、全国の労働基準監督署において指導方針が大きく転換されます。  


ニュースの表面だけをみて「残業規制がゆるくなった」と誤解すると、思わぬ労務リスクを抱え込むことになります。今回の運用のポイントと、経営者が今すぐ確認すべき実務を解説します。


何が変わるのか?(運用の見直しポイント)

これまでの労基署の調査では、特別条項付き36協定を正しく結んで月45時間超の残業が法的に認められている企業に対しても、「とにかく月45時間以内に抑えるように」という画一的な一律指導が行われるケースがありました。  


今後はこの「時間数のみに着目した一律指導」が見直され、「企業が36協定で定めた健康・福祉確保措置を正しく実施しているか」を重点的に確認する運用へとシフトします。  



経営者が誤解してはいけない「3つの注意点」  

  1. 残業の上限規制(法律)が緩和されたわけではない  


    原則「月45時間・年360時間」、特別条項でも「月100時間未満・年720時間」という法律上の上限規制が変わったわけではありません。

    法令違反に対しては引き続き厳正に対応されます。  


  2. 36協定の「健康確保措置」の形骸化が命取りになる  


    今回の見直しにより、労基署のチェックの目は「36協定に書いた約束を守っているか」に向かいます。「医師による面接指導」「勤務間インターバルの確保」「代休の取得」などを形式的に協定書へ記載しているものの、現場で運用できていない企業は真っ先に指導対象となります。  


  3. 過重労働による健康障害リスクへの指導は継続される  


    一律指導がなくなっても、過重労働によって従業員の健康障害が生じるおそれが高いと判断された場合は、従来通り厳しく必要な指導が行われます。  



現場で今すぐ取り組むべき実務アクション

9月1日からの新運用に向け、まずは自社の「36協定の協定届(特に特別条項)」を提出用の控えで確認してください。  


協定書に記載した「健康及び福祉を確保するための措置」の項目は何か?  


その措置(面接指導やインターバル等)が、現場で確実に実施・記録されているか?  


「協定書を出して終わり」の時代は完全に過ぎ去りました。今後は「協定どおりの健康管理が現場で運用できているか」が企業を守る最大の防御策となります。


36協定の運用見直しや健康確保措置の具体的な構築についてご不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。



【出典・一次情報】



【社労士事務所お問い合わせ・ご相談はこちら】


「10月からの社会保険適用拡大に向けて、社内のパート・アルバイトの契約見直しは進んでいますか?」


2026年10月より、短時間労働者(パート・アルバイト等)に対する社会保険(健康保険・厚生年金)の適用拡大がさらに進みます。

今回の改定により、企業規模の要件が「被保険者数50人超」の企業まで一気に拡大し、多くの企業で対応が必須となりました。


さらに実務上で非常に重要なのが、年収の壁(130万円の壁等)における「扶養認定」の判定ルールです。


せっかく法改正や救済措置に沿って運用しているつもりでも、「雇用契約書(労働条件通知書)の記載が雑だったために、扶養から外れてしまった…」というトラブルが現場で発生しています。


本記事では、10月の適用拡大に向けた具体的な準備プロセスと、社会保険の扶養認定を左右する「雇用契約書」の作成ポイントについて、社労士の視点から分かりやすく解説します。


1. 2026年10月「社会保険適用拡大」の基本おさらい

まずは、10月から新たに社会保険の加入対象となる「短時間労働者」の条件を確認しておきましょう。以下のすべての要件を満たす従業員が対象となります。


  • 週の所定労働時間が20時間以上であること


  • 月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上)であること


  • 2ヶ月を超える雇用見込みがあること


  • 学生でないこと


「うちは中小企業だから関係ない」と思われている経営者様も、「常時51人以上の従業員(既存の社会保険被保険者数)」を擁している場合は、今回の適用拡大の対象企業となります。直前になって慌てないよう、早急な社内整理が必要です。

(画像出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」より)


2. 差がつく「雇用契約書」と扶養認定ルールの注意点

パート社員の「扶養認定(130万円の壁など)」の判定において、日本年金機構や健康保険組合が最も重視するのは、実態の収入額だけでなく「雇用契約書に書かれた所定労働条件」です。


契約書の記載が曖昧なことによる「リスク」

例えば、本来は「週19時間勤務」の契約であるにもかかわらず、人手不足で一時的に残業が増え、月額8.8万円や年収130万円を超えてしまったケースを考えてみましょう。


  • 契約書が正しく整備されている場合


    「基本の契約は週19時間であり、一時的な人手不足による突発的な残業である」と雇用契約書を根拠に証明できれば、扶養を維持できる可能性が高くなります。


  • 契約書が曖昧・更新されていない場合


    「最初から実態として週20時間以上の勤務が常態化していた」とみなされ、過去に遡って社会保険への強制加入や、扶養からの削除(配偶者手当の返還等)を求められるリスクが生じます。


「実態と契約書の内容がズレている」「数年前の契約書のまま更新していない」という企業は、今すぐ全パート社員の雇用契約書をチェック・更新する必要があります。



3. 10月に向けて企業が今すぐ進めるべき

「4つの準備ステップ」

10月の施行直前に慌てないために、今から以下のステップで実務を進めていきましょう。


Step 1:対象となるパート・アルバイトの洗い出し

全従業員の「週所定労働時間」「月額賃金(基本給+諸手当)」を一覧化し、10月から新たに社会保険加入対象となる候補者をピックアップします。


Step 2:雇用契約書(労働条件通知書)の全件チェック

候補者だけでなく、既存のパート社員全員の雇用契約書を確認します。「週の所定労働時間」「契約期間」「残業の有無」が、現在の働き方の実態と正しく一致しているかを精査します。


Step 3:対象者への個別説明・意向確認

社会保険に加入すると、従業員本人にも手取り額の変化(社会保険料の自己負担)が生じます。「労働時間を抑えて扶養内で働き続けるか」「労働時間を伸ばして社会保険に加入し、

将来の年金を増やすか」を個別にヒアリング・面談します。


Step 4:就業規則(パートタイマー規程)の改定・届出

社会保険の適用拡大に伴い、パートタイマーの適用範囲や各種手当、労働時間のルールを見直す必要があります。

就業規則(パートタイマー規程)を改定し、状況に応じて労働基準監督署へ届出を行います。



4. 経営者・人事担当者様へ

(社労士からのご提案)

社会保険の適用拡大は、単なる「手続きの変更」ではありません。

手取り額の変化によるパート社員の離職リスクや、会社負担分の社会保険料増加による財務へのインパクトなど、経営に直結する大きな課題です。


また、提携されている税理士の先生方にとっても、顧問先の「年収の壁対策」や「年末調整時のトラブル防止」において、正確な労務管理・契約書チェックは欠かせない要素となります。


当事務所では、以下のサポートをしております。


  • 全パート・アルバイト社員の「雇用契約書・労働条件通知書」緊急リーガルチェック


  • 10月適用拡大に伴う「対象者抽出&シミュレーション」


  • パートタイマー就業規則の改定・整備


  • 社内向け・従業員向けの社会保険適用説明会の実施


「現在の契約書で扶養認定のトラブルを防げるか不安」「10月からの社会保険料増加への対策を相談したい」という経営者様・人事担当者様は、当事務所までご相談ください。


【公的機関の関連情報・特設サイト】

厚生労働省:「社会保険適用拡大ガイドブック・特設サイト」

日本年金機構:「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」


【お問い合わせはこちら】

岸和田THREE社労士事務所 three-sr@outlook.jp



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