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  • 「明日、有休取ります」は拒否できる?経営者が知っておくべき『時季変更権』と有休管理簿の盲点

    「明日、急用ができたので有給休暇を取ります」 「人手不足の繁忙期に、急にまとまった有休申請を出された」 パート・アルバイトやシフト制スタッフを雇う現場の経営者・店長様から、こうした「急な有休申請」や「直前申請」に関するご相談が後を絶ちません。 「年5日の有給休暇取得義務化」が定着した一方で、現場では「いつ・どのような理由であっても、従業員の言う通りに有休を与えなければいけないのか?」という運用の悩みが深刻化しています。 今回は、経営者が知っておくべき法律上のルール「時季変更権」の実態と、現場のトラブルを防ぐ就業規則・帳簿管理のポイントを解説します。 1. 原則:有給休暇の取得理由は「自由」 まず労働基準法上の大原則として、有給休暇は「労働者が指定した日に取得させること」が義務付けられています。 事業主側が「取得理由」を理由に有休を拒否することは原則できません。「私用のため」「旅行のため」といった理由であっても、申請された日に与えるのが基本ルールです。 2. 会社側に認められた唯一の対抗策「時季変更権」とは? 「じゃあ、どれだけ現場が回らなくなっても休ませるしかないのか?」というと、決してそうではありません。 法律では、会社側に「時季変更権(労働基準法第39条第5項)」という権利が認められています。 ■ 時季変更権が使える条件 「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、従業員が指定した有休の日程を「別の日に変更してもらう」ことができます。 認められやすいケース 同日に複数の同僚が休むため代替要員がどうしても確保できない、繁忙期のピークでその人でなければ対応できない業務がある、など。 認められないケース 「単に人手不足だから(日頃の要員計画の不備)」「忙しい時期だからという大まかな理由」など。 3. 「前日や当日の直前申請」はどう扱うべきか? 現場で最も揉めるのが「明日休みたい」「今朝連絡して有休にしたい」という直前申請です。 裁判例や行政解釈では、「事業主が時季変更権を行使するかどうかを検討する時間的余裕がない直前申請」については、会社側が変更権を行使できなくても仕方がない(=必ずしも有休として認めなくてもよい)という考え方が一般的です。 ただし、これを現場でスムーズに運用するためには、「就業規則への明確なルールの記載」が不可欠となります。 4. 現場トラブルを防ぐ「就業規則」2つの必須ポイント 従業員との無用な摩擦や「言った言わない」のトラブルを防ぐため、以下の2点を今すぐ自社の就業規則(または賃金規程・パートタイマー就業規則)に定めておくことを強くおすすめします。 ① 申請期限を明確にする 「有給休暇を取得する場合は、原則として〇日前までに所定の申請書にて届け出なければならない」と明記します。(※一般的には2日前〜1週間前程度が妥当とされています) ② 直前申請や欠勤の「有休振り替え」のルール化 当日の急な病欠などを「後から有休扱いに変更してほしい」と求められた際、会社がそれを許可するかどうかの基準(「会社が認めた場合に限り有休振り替えを許可する」等)を定めておきます。 5. 意外と忘れがち!「年次有給休暇管理簿」の作成・保存義務 急な有休対応と合わせて経営者が絶対に押さえておくべきなのが、「年次有給休暇管理簿」の作成と保存(5年間)です。 2019年の法改正により、事業主は有給休暇を与えた基準日や日数、実際に取得した日付を労働者ごとに記載した「管理簿」を作成し、保存することが法律で義務付けられました(違反時は30万円以下の罰金対象)。 「年5日取得させたから安心」と管理簿を作っていない シフト表や出勤簿だけで管理していて、個人別の管理簿がない 労基署の調査でも必ずチェックされるポイントですので、就業規則の整備とセットで「誰が・いつ・何日有休を取ったか」がひと目でわかる管理体制を整えておくことが不可欠です。 まとめ 年5日の有給休暇取得義務を果たしつつ、現場のシフトや業務をスムーズに回すためには、「事業主の権利(時季変更権)の正しい理解」と「ルールを明確にした就業規則・管理簿の整備」が欠かせません。 「パートさんの急な有休申請で現場が回らない」「現在の就業規則や管理簿の作成方法に不安がある」「有給休暇管理を依頼したい」という経営者様は、ぜひ一度自社の労務管理チェックをご相談ください。 ※7月16日に公開した『【令和8年最新】「シフト制」における雇用管理の留意点と有給休暇・休業手当の実務対応』と合わせてご覧いただくと、より理解が深まります。 【出典・一次情報】 厚生労働省:労働基準関係リーフレット |厚生労働省

  • 【時給3,000円超の衝撃】オーストラリアの「賃金未払い問題」は他人事じゃない。日本の事業所が今後直面する外国人雇用のリアル

    「出稼ぎで稼げる国」として注目されてきたオーストラリアで、最低賃金の高騰とそれに伴う物価上昇が深刻な社会問題となっています。 現在、オーストラリアの最低時給は26豪ドル台(日本円で約3,000円前後)に達していますが、急激な賃上げにビジネスモデルが追いつかない事業者による「生活コスト高騰」や「不法な賃金未払い(いわゆる Wage Theft/賃金搾取)」が多発し、現地機関による高額な罰金命令や店舗閉鎖が大きなニュースとなりました。 一見すると遠い海外の事例に思えますが、実はこれは、数年後の日本(特に都市部やインバウンド・人手不足が深刻な地域)が今後直面する未来の姿そのものです。 今回は、海外事例から読み解く日本の経営者が今後直面するリスクと、外国人材雇用の実務ポイントを解説します。 1. 急激な賃上げがもたらす「事業構造の崩壊」 日本の最低賃金も、関西主要エリアで1,200円〜1,200円台後半へと急激に上昇しています。 賃上げスピードに企業の収益力(価格転嫁や業務効率化)が追いつかない場合、発生するのが「適正な賃金を支払うと利益が出ない」という構造的破綻です。 オーストラリアで起きた問題は、単に悪質な事業主だけが原因ではなく、賃上げ圧力に耐えかねた事業者が追い込まれた結果という側面もあります。 日本においても、単なる時給の引き上げにとどまらず、「業務効率化(IT導入や自動化)」や「適切なサービス価格への転嫁」をセットで進めなければ、事業の継続自体が困難になる時代に入っています。 2. 日本で急増する「外国人材の労務リスク」 人手不足を背景に、特定技能・技能実習(育成就労)だけでなく、留学生アルバイトなどの外国人労働者を活用する企業が激増しています。 しかし、言語の違いや制度の複雑さから、現場では以下のような重大なトラブルが発生しがちです。 手当の除外ミスによる「実質的な最低賃金割れ」 最低賃金チェック時に算入できない手当(通勤手当や残業代など)を含めて計算してしまい、知らぬ間に最賃割れになっていたケース。 留学生の「週28時間制限」の超過(不法就労助長) 他店とのダブルワークを把握しておらず、上限時間を超えて働かせてしまうケース。 固定残業代や割増賃金の未払い 「外国人だから」「本人が納得しているから」と妥当性のない賃金体系を適用し、後に労基署の指導や遡及支払いを命じられるケース。 3. 「知らなかった」では済まされないペナルティ 日本では、外国人労働者の労務コンプライアンス違反に対して年々厳しい処置が取られています。 労基署からの是正勧告にとどまらず、悪質なケースや出入国管理法違反に触れた場合、「外国人材の受け入れ停止処分」や「企業名の公表」など、企業の信用と事業継続に直結するペナルティが科されます。 特に、特定技能などを活用して事業を展開している企業にとって、コンプライアンス違反による受入資格の停止は致命傷になりかねません。 まとめ オーストラリアのニュースは、「ただ時給を上げれば解決する」という単純な話ではないことを教えてくれています。 国籍や雇用形態にかかわらず、正しい労働条件で雇用し、適切な労働時間管理を行うことは、企業を守るための最低条件です。 自社の外国人スタッフの賃金計算が正しく行われているか 雇用契約書や就業規則が実態に即したものになっているか 10月の最低賃金改定を前に、一度自社の労働環境と労務管理をチェックしておくことを強くおすすめします。 【出典・一次情報】 厚生労働省:外国人の雇用(ルールや指針等について)

  • 【2026年最新】全国で最低賃金の答申が出揃う!『業務改善助成金』『キャリアアップ助成金』活用法(第2弾)

    前回の記事(8月12日公開)では、関西エリアを中心とした2026年度(令和8年度)の最低賃金改定の動向と、10月までに企業が確認すべき実務チェックをお伝えしました。 8月中旬に入り、全国各地の地方最低賃金審議会から答申が次々と発表されています。 中央審議会が示した全国加重平均「1,176円(+55円)」の目安 を超えて引き上げる県(宮城・福島・新潟・石川・山口など)も相次いでおり、企業の人件費負担は想定以上のインパクトとなっています。 今回は第2弾として、全国主要エリアの最新状況を整理するとともに、10月の賃上げコストを国からの助成金でカバーするための「業務改善助成金」と「キャリアアップ助成金」の具体的な選び方を徹底解説します。 1. 全国の主要エリア・改定答申状況(最新まとめ) 全国的に「時給1,100円〜1,200円超え」が当たり前の時代に入りました。代表的な地域の答申額(見込み)は以下の通りです。 エリア 都道府県 現行時給 改定後(答申額) 引き上げ額 発効予定日 首都圏 東京都 1,226円 1,280円 +54円 10月1日予定 関西 大阪府 1,177円 1,231円 +54円 10月1日予定 関西 京都府 1,122円 1,178円 +56円 10月上旬予定 東海 愛知県 1,140円 1,195円 +55円 10月1日予定 地方 静岡県 1,097円 1,154円 +57円(目安+1) 地方 山口県 1,043円 1,101円 +58円(目安+2) ※静岡県や山口県のように、中央目安(Bランク+56円)を上回る上乗せ答申を出す自治体が目立っています。また、発効予定日も地域によって「10月1日」「10月8日」「10月15日」など微妙に異なるため注意が必要です。 2. 自社に合うのはどっち?『業務改善助成金』『キャリアアップ助成金』 「10月からのコスト増を国からの助成金で乗り切りたい」という企業が検討すべき代表的な制度が以下の2つです。 比較項目 業務改善助成金(設備投資型) キャリアアップ助成金(人件費補填型) メインの目的 生産性向上のための設備投資+賃上げ 有期雇用・パート等の基本給アップ 対象経費 ITツール、POSレジ、機械設備、店舗改修等 なし(引き上げた人件費そのものが対象) 助成額・助成率 設備投資額の2/3〜9/10(上限あり) 賃上げ率に応じ1人あたり数万円〜(定額) おすすめの企業 「レジ更新や業務効率化システムを導入したい」 「設備投資の予定はなく、純粋に時給を引き上げる」 3. どちらを選ぶべきか?判断のチェックリスト ① POSレジや業務ソフト、作業機器などを購入するなら ➔ 「業務改善助成金」 「時給を〇〇円上げる」と同時に、「新しいPOSレジを入れる」「予約管理システムを導入する」「PCや専用機械を新調する」といった計画がある場合は、業務改善助成金が最適です。購入費用に対し高い補助率(最大90%)が適用されます。 ② 特に大きな設備投資はせず、雇用保険加入者の時給を底上げするなら ➔ 「キャリアアップ助成金」 「買うものはないが、10月の最低賃金改定に合わせてパートや契約社員の時給を5%以上ベースアップする」という場合は、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)が使いやすい選択肢です。 4. 「スケジュールの注意すべき点」 どちらの助成金を使う場合でも、最大の注意点は「事前の計画書提出が必須」であるという点です。 10月1日に時給を上げた後から「助成金を申請したい」場合、事前申請をしていない場合は1円も受け取ることができません。 社内での賃金シミュレーション 計画書の作成および労働局の提出 就業規則(賃金規程)の改定・周知 10月からの賃金引き上げと支給 このステップを10月1日(または各都道府県の発効日)までに完了させるためには、まさに今(8月下旬〜9月上旬)が準備の最終タイミングです。 まとめ 「自社の場合、どちらの助成金が使えるか」「いくら受給できるか」は、現在の従業員の時給単価、雇用形態、今後の設備投資予定によって異なります。 10月の改定目前で慌てないよう、まずは現在の賃金台帳をお手元に、お早めにご準備・ご相談ください。 【出典・一次情報】 厚生労働省:令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について|厚生労働省 厚生労働省:業務改善助成金|厚生労働省 厚生労働省:キャリアアップ助成金

  • 【2026年8月20日速報】労基署の「残業一律指導」見直しへ!経営者が絶対に誤解してはいけない3つの注意点

    昨日(2026年8月19日)、厚生労働省より「時間外労働等に係る監督指導及び相談支援の見直し」が正式発表されました。 本年9月1日より、全国の労働基準監督署において指導方針が大きく転換されます。 ニュースの表面だけをみて「残業規制がゆるくなった」と誤解すると、思わぬ労務リスクを抱え込むことになります。今回の運用のポイントと、経営者が今すぐ確認すべき実務を解説します。 何が変わるのか?(運用の見直しポイント) これまでの労基署の調査では、特別条項付き36協定を正しく結んで月45時間超の残業が法的に認められている企業に対しても、「とにかく月45時間以内に抑えるように」という画一的な一律指導が行われるケースがありました。 今後はこの「時間数のみに着目した一律指導」が見直され、「企業が36協定で定めた健康・福祉確保措置を正しく実施しているか」を重点的に確認する運用へとシフトします。 経営者が誤解してはいけない「3つの注意点」 残業の上限規制(法律)が緩和されたわけではない 原則「月45時間・年360時間」、特別条項でも「月100時間未満・年720時間」という法律上の上限規制が変わったわけではありません。 法令違反に対しては引き続き厳正に対応されます。 36協定の「健康確保措置」の形骸化が命取りになる 今回の見直しにより、労基署のチェックの目は「36協定に書いた約束を守っているか」に向かいます。「医師による面接指導」「勤務間インターバルの確保」「代休の取得」などを形式的に協定書へ記載しているものの、現場で運用できていない企業は真っ先に指導対象となります。 過重労働による健康障害リスクへの指導は継続される 一律指導がなくなっても、過重労働によって従業員の健康障害が生じるおそれが高いと判断された場合は、従来通り厳しく必要な指導が行われます。 現場で今すぐ取り組むべき実務アクション 9月1日からの新運用に向け、まずは自社の「36協定の協定届(特に特別条項)」を提出用の控えで確認してください。 協定書に記載した「健康及び福祉を確保するための措置」の項目は何か? その措置(面接指導やインターバル等)が、現場で確実に実施・記録されているか? 「協定書を出して終わり」の時代は完全に過ぎ去りました。今後は「協定どおりの健康管理が現場で運用できているか」が企業を守る最大の防御策となります。 36協定の運用見直しや健康確保措置の具体的な構築についてご不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。 【出典・一次情報】 厚生労働省:時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します(令和8年8月19日報道発表) 【社労士事務所お問い合わせ・ご相談はこちら】 three-sr@outlook.jp

  • 【10月社会保険適用拡大】「雇用契約書」の書き方ひとつで扶養外れ?企業が今すぐやるべき準備と実務チェックポイント

    「10月からの社会保険適用拡大に向けて、社内のパート・アルバイトの契約見直しは進んでいますか?」 2026年10月より、短時間労働者(パート・アルバイト等)に対する社会保険(健康保険・厚生年金)の適用拡大がさらに進みます。 今回の改定により、企業規模の要件が「被保険者数50人超」の企業まで一気に拡大し、多くの企業で対応が必須となりました。 さらに実務上で非常に重要なのが、年収の壁(130万円の壁等)における「扶養認定」の判定ルールです。 せっかく法改正や救済措置に沿って運用しているつもりでも、「雇用契約書(労働条件通知書)の記載が雑だったために、扶養から外れてしまった…」というトラブルが現場で発生しています。 本記事では、10月の適用拡大に向けた具体的な準備プロセスと、社会保険の扶養認定を左右する「雇用契約書」の作成ポイントについて、社労士の視点から分かりやすく解説します。 1. 2026年10月「社会保険適用拡大」の基本おさらい まずは、10月から新たに社会保険の加入対象となる「短時間労働者」の条件を確認しておきましょう。以下のすべての要件を満たす従業員が対象となります。 週の所定労働時間が20時間以上であること 月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上)であること 2ヶ月を超える雇用見込みがあること 学生でないこと 「うちは中小企業だから関係ない」と思われている経営者様も、「常時51人以上の従業員(既存の社会保険被保険者数)」を擁している場合は、今回の適用拡大の対象企業となります。直前になって慌てないよう、早急な社内整理が必要です。 (画像出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」より) 2. 差がつく「雇用契約書」と扶養認定ルールの注意点 パート社員の「扶養認定(130万円の壁など)」の判定において、日本年金機構や健康保険組合が最も重視するのは、実態の収入額だけでなく「雇用契約書に書かれた所定労働条件」です。 契約書の記載が曖昧なことによる「リスク」 例えば、本来は「週19時間勤務」の契約であるにもかかわらず、人手不足で一時的に残業が増え、月額8.8万円や年収130万円を超えてしまったケースを考えてみましょう。 契約書が正しく整備されている場合 「基本の契約は週19時間であり、一時的な人手不足による突発的な残業である」と雇用契約書を根拠に証明できれば、扶養を維持できる可能性が高くなります。 契約書が曖昧・更新されていない場合 「最初から実態として週20時間以上の勤務が常態化していた」とみなされ、過去に遡って社会保険への強制加入や、扶養からの削除(配偶者手当の返還等)を求められるリスクが生じます。 「実態と契約書の内容がズレている」「数年前の契約書のまま更新していない」という企業は、今すぐ全パート社員の雇用契約書をチェック・更新する必要があります。 3. 10月に向けて企業が今すぐ進めるべき 「4つの準備ステップ」 10月の施行直前に慌てないために、今から以下のステップで実務を進めていきましょう。 Step 1:対象となるパート・アルバイトの洗い出し 全従業員の「週所定労働時間」「月額賃金(基本給+諸手当)」を一覧化し、10月から新たに社会保険加入対象となる候補者をピックアップします。 Step 2:雇用契約書(労働条件通知書)の全件チェック 候補者だけでなく、既存のパート社員全員の雇用契約書を確認します。「週の所定労働時間」「契約期間」「残業の有無」が、現在の働き方の実態と正しく一致しているかを精査します。 Step 3:対象者への個別説明・意向確認 社会保険に加入すると、従業員本人にも手取り額の変化(社会保険料の自己負担)が生じます。「労働時間を抑えて扶養内で働き続けるか」「労働時間を伸ばして社会保険に加入し、 将来の年金を増やすか」を個別にヒアリング・面談します。 Step 4:就業規則(パートタイマー規程)の改定・届出 社会保険の適用拡大に伴い、パートタイマーの適用範囲や各種手当、労働時間のルールを見直す必要があります。 就業規則(パートタイマー規程)を改定し、状況に応じて労働基準監督署へ届出を行います。 4. 経営者・人事担当者様へ (社労士からのご提案) 社会保険の適用拡大は、単なる「手続きの変更」ではありません。 手取り額の変化によるパート社員の離職リスクや、会社負担分の社会保険料増加による財務へのインパクトなど、経営に直結する大きな課題です。 また、提携されている税理士の先生方にとっても、顧問先の「年収の壁対策」や「年末調整時のトラブル防止」において、正確な労務管理・契約書チェックは欠かせない要素となります。 当事務所では、以下のサポートをしております。 全パート・アルバイト社員の「雇用契約書・労働条件通知書」緊急リーガルチェック 10月適用拡大に伴う「対象者抽出&シミュレーション」 パートタイマー就業規則の改定・整備 社内向け・従業員向けの社会保険適用説明会の実施 「現在の契約書で扶養認定のトラブルを防げるか不安」「10月からの社会保険料増加への対策を相談したい」という経営者様・人事担当者様は、当事務所までご相談ください。 【公的機関の関連情報・特設サイト】 厚生労働省:「社会保険適用拡大ガイドブック・特設サイト」 日本年金機構:「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」 【お問い合わせはこちら】 岸和田THREE社労士事務所 three-sr@outlook.jp

  • 【厚生労働省・最新通達】薬局のカスハラ患者は「拒否」できる!「調剤応需義務」の新解釈と薬局が今すぐやるべき労務対策

    「患者からの理不尽な暴言や長時間の拘束…『調剤応需義務』があるからと諦めていませんか?」 調剤薬局の現場において、長年大きな課題となってきた悪質なカスタマーハラスメント(カスハラ)。「患者だから断れない」「薬剤師法で調剤を拒否できないから…」と、現場の薬剤師が一人で抱え込み、精神的に追い詰められて離職してしまうケースが後を絶ちません。 こうした現場の窮状を受け、厚生労働省医薬局長より「薬剤師の調剤応需義務等について」(医薬発0708第1号)という重要な通達が発出されました。 本記事では、この最新通達のポイントと、理不尽なカスハラから大切なスタッフと薬局を守るために経営者・管理薬剤師様が今すぐ取り組むべき労務対策について分かりやすく解説します。 1. 厚労省通達の要点:何が変わったのか? 薬剤師法第21条には「正当な理由がなければ調剤の求めを拒否してはならない(調剤応需義務)」と定められています。 今回の通達では、どのような場合に調剤を拒否することが「正当な理由」として認められるかについての明確な判断基準が示されました。 重要な判断の柱は以下の2点です。 ① 薬局における「カスタマーハラスメント」への該当性 労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の考え方と同様に、「顧客等の言動であって、業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害される」行為であるか否かで判断します。 ② 患者との「信頼関係の喪失」の有無 カスハラに該当する行為があった場合でも、薬剤師による調剤の基礎となる患者との信頼関係が既に失われていると認められるかで判断します。 【正当な拒否理由となる具体例】 調剤行為そのものと直接関係のないクレームや迷惑行為(暴言・長時間の拘束・土下座要求など)が継続している場合 店舗側が警告書を発出したり、複数名で説得を行ったりしたにもかかわらず、迷惑行為が継続・改善されない場合 ※なお、患者に精神疾患等の背景がある場合は、医療機関や行政等と連携した上での慎重な判断が求められます。 2. 「毅然と対応する」ために薬局側に求められる事前準備 今回の通達により、「カスハラ患者に対して調剤を拒否する道」が明確に開かれました。 しかし、ただ現場の判断で「お断りします」と言えば済むわけではありません。 万が一、拒否した患者から行政や第三者機関へクレームが入った際、「正当な拒否であった」と証明するためには、薬局側があらかじめ組織としての体制・手順を整えておく必要があります。 社労士の視点から、薬局が今すぐ進めるべき3つの対策を挙げます。 対策①:現場任せにしない「カスハラ対応マニュアル」の策定 一人で対応させず、「どのような言動があったら複数人で対応するか」「どの段階で管理薬剤師・本部へ引き継ぐか」「警察通報の基準」などを明記したマニュアルを作成・周知します。 対策②:警告書の発出スキームと「対応記録」の標準化 通達の例にもある通り、「警告を出したが改善されなかった」というプロセスが重要視されます。日頃の迷惑行為の時系列記録(日時・発言内容・対応人数)を残し、書面で警告を出せる手続きを組織として準備しておく必要があります。 対策③:就業規則および「店舗内掲示」の整備 「当薬局では、スタッフへの暴言・ハラスメント行為に対しては毅然とした対応(調剤のお断り・警察への通報等)を行います」という基本方針を、 就業規則や店舗内のポスター等で明確に打ち出しておくことが、ハラスメントの抑止力とスタッフの安心感に直結します。 3. 経営者・管理薬剤師様へ(当事務所のサポート) 売り手市場が続く薬剤師の採用・定着において、「スタッフを理不尽なハラスメントから守れる職場かどうか」は、今や選ばれる薬局になるための最重要課題です。 当事務所では、医療機関・調剤薬局様の労務管理を強力にバックアップいたします。 薬局の実態に合わせた「カスタマーハラスメント対応マニュアル」の作成 万が一の際の「警告書」文面作成・対応プロセスの構築アドバイス 就業規則の改定およびハラスメント防止体制の構築 スタッフ向けのカハラ初期対応マニュアル 「うちの店舗の対応マニュアルを見直したい」 「困った患者への具体的な対応手順を相談したい」という経営者・管理薬剤師様は、 お気軽に当事務所までご相談ください。 【出典】 厚生労働省医薬局長通知(令和8年7月8日付け医薬発0708第1号) 「薬剤師の調剤応需義務等について」26年7月8日掲載001720004.pdf 薬局・薬剤師に関する情報 |厚生労働省

  • 【2026年最新】最低賃金が大阪1,231円・京都1,178円へ!関西の改定動向と経営者が取るべき10月までの対策

    2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金の改定について、厚生労働省の中央最低賃金審議会の目安(全国加重平均55円引き上げ)を受け、 関西各府県の地方最低賃金審議会から答申が出揃いつつあります。 改定の実施予定日は本年も10月1日が見込まれており、残された準備期間は約2ヶ月です。 今回は、大阪・京都をはじめとする関西主要エリア(兵庫・奈良含む)の改定額のポイントと、企業が今すぐ取り組むべき実務上の対策を整理してお伝えします。 1. 関西主要エリアの最低賃金改定一覧 今回の目安改定(大阪+54円、京都・兵庫・奈良+56円)を反映した、関西主要エリアの改定後の金額状況は以下の通りです。 都道府県 現行(改定前) 改定後(答申額) 引き上げ額 実施予定時期 大阪府 1,177円 1,231円 +54円 2026年10月1日予定 京都府 1,122円 1,178円 +56円 2026年10月1日予定 兵庫県 1,116円 1,172円 +56円 2026年10月1日予定 奈良県 1,051円 1,107円 +56円 2026年10月1日予定 ※滋賀県(1,080円→1,136円予定)、和歌山県(1,045円→1,101円予定)など、 近畿圏全体で50円を超える大幅な引き上げが続く見通しです。 2. 経営者が注意すべき点 今回の改定に伴い、実務上で特に注意が必要なのが以下の2点です。 ① 「時給制」以外のスタッフ(月給者)の割れチェック 最低賃金はパート・アルバイトの時給だけでなく、月給制の正社員や契約社員にも適用されます。 チェック方法: (基本給 + 対象となる手当) ÷ 1か月の平均所定労働時間 = 換算時給 ※役職手当や資格手当は算入できますが、通勤手当・家族手当・精皆勤手当・時間外手当などは最低賃金の対象外となるため除外して計算する必要があります。 ② 「賃金の逆転・格差縮小」に伴う現場の不満 最低賃金ギリギリのラインだけを引き上げると、「新人パートの時給と、勤続3年のベテランパートの時給がほぼ同じになる」という事態が発生します。 不公平感からモチベーション低下や離職に繋がるケースが多いため、最低賃金層だけでなく全体の賃金テーブル(給与体系)のバランスをどう維持するかが大きな課題となります。 最低賃金の対象となる賃金の範囲(厚生労働省). 出典: 厚生労働省 ★ ポイント 上図のように、最低賃金の判定で緑色枠(対象)に含まれるのは「基本給」と「一部の諸手当」のみです。 通勤手当・家族手当・精皆勤手当や残業代はすべて計算から除外しなければならないため、「額面(総支給)では足りているのに、手当を引いたら最低賃金割れしていた」というミスが非常に多く発生します。 3. 10月までに企業が取るべき3つの実務対策 改定までに残された時間で、優先して進めるべき対策は次の3つです。 賃金シミュレーションの実施 全従業員の給与データを抽出し、10月時点で最低賃金を下回るスタッフが何名いるか、引き上げた場合の人件費増加額がいくらになるかを速やかに算出する。 「業務改善助成金」などの活用検討 事業場内で最も低い賃金を引き上げ、同時に設備投資やITツール導入(省力化)を行う場合、国の「業務改善助成金」を活用できる可能性があります。事前の申請が必要となるため早めの点検が不可欠です。 就業規則(賃金規程)の見直しと周知 改定に伴い基本給や手当の組み替えを行う場合は、就業規則の改定手続きおよび従業員への説明を10月までに完了させておきます。 まとめ 近年の最低賃金引き上げは過去最高水準レベルが続いており、企業経営への影響はますます大きくなっています。 単なる「コスト増」として捉えるのではなく、価格転嫁や業務効率化、助成金の活用とセットで検討し、10月の発効に向けて余裕を持った準備を進めていきましょう。 ※出典:厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額の改定目安」および各地方最低賃金審議会答申 最低賃金の対象となる賃金|厚生労働省 ※10月からの人件費増加を国からの助成金で乗り切りたい方は、こちらの比較記事もあわせてご覧ください。 ➔ [10月の最低賃金引き上げ、自社に合うのはどっち?『業務改善助成金(設備投資型)』vs『キャリアアップ助成金(人件費補填型)』]

  • 10月の最低賃金引き上げ、自社に合うのはどっち?『業務改善助成金(設備投資型)』vs『キャリアアップ助成金(人件費補填型)』

    2026年10月1日の最低賃金改定(大阪1,231円、京都1,178円など)に向けて、 社内の賃金見直しを進めている企業も多いのではないでしょうか。 「人件費の負担を少しでも減らしたい」「この機会に国の助成金を活用したい」と考えたとき、候補に挙がるのが「業務改善助成金」と「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」の2つです。 しかし、経営者の方から「結局どっちを使えばいいの?」「両方の違いがよく分からない」というご相談をいただきます。 今回は、それぞれの特徴・メリット・注意点を徹底比較し、自社に合った助成金の選び方を分かりやすく解説します! 1. ひと目でわかる!2大助成金の比較表 まずは、両者の全体像と違いを一覧で整理しました。 比較項目 業務改善助成金(設備投資型) キャリアアップ助成金(人件費補填型) 主な目的 生産性向上(設備投資)と賃上げ 有期雇用者(パート等)の処遇改善 主な要件 事業場内最低賃金ラインの賃上げ + 設備導入 パート・アルバイト等の就業規則改定で3%以上賃上げ 助成額 買った設備代金の一部補助(最大9/10) 1人あたり4万〜7万円の定額支給 資金の使い道 設備投資費用への充当 使い道自由(賃上げ原資に直接使える) こんな企業向け POSレジ・専用ソフト・機械の導入や改装をしたい 設備投資の予定はなく、パート等の人数が多い 2. 業務改善助成金(設備投資型)が向いている企業 「業務改善助成金」は、「賃上げ」と「業務効率化(設備投資)」をセットで行う企業に最適な制度です。 このような企業に POSレジ、勤怠・給与計算システム、自動券売機、最新の施術・調理機器などを導入したい 作業場のレイアウト変更や店舗改装を行いたい 最低賃金(またはその近辺)で働いているスタッフが数名いる 注意すべきポイント 事前申請が絶対条件: 設備の購入(発注)や賃上げを行う前に、国へ申請して承認(交付決定)を受ける必要があります。10月1日に給与を上げてしまってからでは申請できません。 3. キャリアアップ助成金(人件費補填型)が向いている企業 「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」は、パートやアルバイトなどの有期雇用労働者を多く抱え、純粋に賃上げの持ち出し(人件費負担)を減らしたい企業に最適です。 このような企業に 新たな設備投資やシステム導入の予定は特にない パートやアルバイトの人数が多く、一律で時給をベースアップ(3%以上)したい 助成金をそのまま「給与の補填」として自由に使いたい 注意すべきポイント 計算基準のミスの多発: 10月の新最低賃金(大阪1,231円など)を下回る賃上げ設定はNGです。現行の最低賃金ではなく「改定後の賃金ルール」を踏まえた上で、適切に3%以上のアップ率を計算して就業規則(賃金規程)を改定する必要があります。 4. 自社に合うのはどっち?選び方の判断基準 迷ったときは、以下のフローで検討してみましょう。 「これから買いたい設備・ソフトや、業務効率化に繋がる設備投資があるか?」 ➔ YES なら 「業務改善助成金」 を第一候補に! 「設備投資の予定はなく、パート・バイトの賃上げ原資を確保したいか?」 ➔ YES なら 「キャリアアップ助成金」 を第一候補に! まとめ:10月発効に間に合わせるなら「今すぐ」準備を! どちらの助成金を選択するにしても、就業規則(賃金規程)の改定や事前申請、賃金の計算シミュレーションなど、10月1日の改定日までに完了させておくべき手続きが数多く存在します。 「自社の場合、どちらを活用するのが一番メリットが大きいか」「併用は可能か」など、気になる方はぜひお早めにご相談ください。 自社の状況に合わせた最適なプランをご提案いたします。 ※出典: ・厚生労働省 業務改善助成金|厚生労働省 ・厚生労働省「キャリアアップ助成金」

  • 【厚労省・最新公表】運送業の労基署監督指導結果(令和7年)を解説!違反率81.2%の実態と経営者が取るべき対策

    2026年8月6日、厚生労働省より「令和7年に全国の労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導(立入調査)や送検等の状況」が公表されました。 2024年4月に「改善基準告示の改正」および「時間外労働の上限規制(年960時間)」が適用されてから1年が経過した時点での、リアルな監督指導の実態を示す重要なデータです。 今回は、公表されたデータから見えてくる「労基署が重点的にチェックしているポイント」と、企業が今すぐ取り組むべき実務対策を分かりやすく整理してお伝えします。 1. 監督指導結果の全体像(違反率は81.2%) 令和7年に全国の労働基準監督署がトラック・バス・タクシーなどの事業場(4,123事業場)に実施した監督指導の結果は以下の通りです。 労働基準関係法令違反あり: 3,346事業場(81.2%) 改善基準告示違反あり: 2,188事業場(53.1%) 重大・悪質な違反による送検件数: 67件 調査が入った事業場のうち、実に8割以上で何らかの法令違反が認められており、 非常に厳格な調査が行われていることが窺えます。 2. 主な違反事項(どこが狙われているか?) 公表されたデータによると、労基署が重点的に確認している違反項目には明確な傾向があります。 ① 労働基準関係法令違反のワースト3 労働時間(39.3%):時間外労働の上限超過や36協定違反など 割増賃金の支払(19.7%):残業代の計算不備や未払い 労働時間の状況の把握(6.3%):客観的な時間管理の不足 ② 改善基準告示違反のワースト3 最大拘束時間(40.2%):1日または1か月あたりの拘束時間上限オーバー 休息期間(28.3%):勤務間の休息時間(9時間〜11時間以上)の不足 総拘束時間(27.4%):年間の総拘束時間上限オーバー ポイント 「労働時間」と「最大拘束時間・休息期間」が違反の大部分を占めています。 デジタコ(デジタルタコグラフ)の記録と出勤簿・日報との整合性が厳しくチェックされている状況が浮き彫りになっています。 3. 「発着荷主」に対する要請と「荷主特別対策チーム」の動き 今回の発表で特に注目すべきは、運送事業者だけでなく「発着荷主等への働きかけ」についても明記されている点です。 長時間労働や拘束時間オーバーの背景には、荷主都合による「長時間の荷待ち(手待ち時間)」や「無理な配送スケジュールの指定」が存在することが少なくありません。 厚労省では都道府県労働局に「荷主特別対策チーム」を編成し、長時間の恒常的な荷待ちを発生させないよう、発着荷主に対して直接的な要請や周知を行っています。今や荷主企業にとっても、運送業者との取引環境見直しはコンプライアンス上の重要課題となっています。 4. 企業が今すぐ取り組むべき3つの実務対策 今回の結果を踏まえ、自動車運転者を使用する企業(および関連する荷主企業)は以下の点検を優先して行うことをおすすめします。 デジタコデータと労働時間管理の不整合チェック タイムカードの打刻時間と、デジタコの運行記録・タコグラフの始動/停止時間にズレがないか確認・是正する。 休息期間(勤務間インターバル)の確実な確保 シフト作成段階で、継続11時間(最低9時間)の休息期間が確保できているか再検証する。 荷待ち時間の記録と荷主との協議 荷待ちが発生している場合は記録を可視化し、発着荷主に対してタイムスケジュールの緩和や改善を協議する。 まとめ 度重なる指導に応じない重大・悪質なケースに対しては、すでに67件が「送検」という厳しい処置をとられています。 「これくらいは業界の慣習だから」と放置せず、自社の運行管理と労働時間管理の実態を客観的に把握し、早め早めの見直しと改善を進めていくことが重要です。 ※出典:厚生労働省「自動車運転者を使用する事業場に対する令和7年の監督指導、送検等の状況(令和8年8月6日公表)」 労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和7年の監督指導、送検等の状況を公表します|厚生労働省

  • 【2026年最新】「骨太方針」と「日本成長戦略」が閣議決定!経営者が知っておくべき労働法制・賃上げの今後

    2026年7月21日、政府の合同会議にて「日本成長戦略」および「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針)」が閣議決定されました。 これらは、今後数年間における日本の経済・労働政策の「ロードマップ(指針)」となる極めて重要な決定です。 労働時間法制の見直し、最低賃金の引き上げ、社会保険制度の再編など、企業経営や人事労務に直結する項目が多数盛り込まれています。今回は、中小企業の経営者や人事担当者が今押さえておくべき主要ポイントを分かりやすく整理してお伝えします。 1. 労働時間法制の見直し(2026年夏以降の動向) 今回の成長戦略では、柔軟で多様な働き方の実現と労働者の健康確保を両立させるため、 労働時間法制に関する具体的な検討スケジュールが示されました。 裁量労働制・変形労働時間制の見直し 現場の実態や労使双方の立場を踏まえ、長時間労働の防止や適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、対象業務や運用のあり方の検討が進められます。 新たな働き方・勤務環境への対応 勤務間インターバル制度の法的位置付けをはじめ、「つながらない権利(勤務時間外の連絡制限)」のあり方、副業・兼業における健康確保、テレワークの活用促進などについて検討が行われます。 労働基準監督署の指導・相談体制 重大・悪質な事案には厳正に対応する一方、時間外労働の実態に応じた36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について、「働き方改革推進支援センター」等と連携した相談支援の充実が図られます。 Point 2026年夏以降、労働政策審議会(労政審)での具体的な議論が順次スタートします。 2. 賃上げ環境の整備と最低賃金の方針 持続的な賃上げと中小企業の「稼ぐ力」強化に向けた施策パッケージも明記されました。 最低賃金の目標 2030年代前半までに全国平均1,500円の達成を目指し、労働生産性の向上面とあわせて官民での取り組みが継続されます。また、地域間格差の是正も重視されています。 実質賃金年1%上昇の定着 2029年度までに、物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を「社会通念(ノルム)」として定着させることが掲げられました。 中小企業への伴走支援・取引適正化 価格転嫁の徹底、省力化投資(設備投資・IT化支援など)の推進、M&Aや事業再編を通じた生産性向上支援など、賃上げしやすい環境を整える施策が盛り込まれています。 3. 社会保障・労働市場改革のゆくえ 人手不足が深刻化する中、社会保障制度や雇用の仕組みについても中長期的な見直しが進められます。 雇用保険制度の再編 労働力供給制約に対応した雇用保険のあり方について、2026年内を目途に結論が得られるよう検討が進められます。 医療・介護等の制度見直し 高齢者の医療費窓口負担の原則や介護保険の自己負担割合の見直し、医療・介護・障害福祉分野における人材確保と他職種と遜色のない処遇改善の実現が掲げられています。 多様な人材の能力発揮(リスキリング) 処遇向上に向けたリスキリング支援や、女性・若者・就職氷河期世代などの就業・能力発揮に向けた環境整備が一層強化されます。 まとめ 今回の閣議決定は、すぐに全ての法律が変わるわけではありませんが、「政府がこれから数年間でどの方向を目指しているか」を示す明確な指針です。 労働時間の管理方法、就業規則の整備、賃金の引き上げ計画、社会保険の負担構造など、 今後の企業対応を見据え、自社の現行制度を定期的に見直しておくことが重要になります。 ※出典:内閣官房「日本成長戦略(令和8年7月21日閣議決定)」および内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2026」 日本成長戦略本部/日本成長戦略会議|内閣官房ホームページ

  • 【国交省・令和8年7月最新】トラック運送業の「適正原価」議論がスタート!最低賃金増・人件費上昇を乗り越える労務・価格交渉戦略

    令和8年7月17日、国土交通省にて第1回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」が開催されました。 2024年問題以降、トラックドライバーの労働時間規制(年960時間)や改善基準告示の強化が進む中、物流業界では人手不足や人件費・燃料費の高騰が大きな課題となっています。 今回の検討会は、令和7年6月に成立・公布された「トラック適正化二法」に基づき、国が定める「適正原価」の具体的な算定方法や方向性を固めるための重要な第一歩です。 これは運送事業者はもちろんのこと、発注側である荷主企業(製造・卸売・建設など全産業)にとっても、今後の取引価格や予算管理に直結する非常にインパクトの大きい動向です。 今回は、公表された資料をもとに、この制度が目指す背景と、経営者が今から押さえておくべきポイントを整理します。 1. なぜ今「適正原価」が必要とされているのか? 背景にあるのは、物流業界における価格転嫁の厳しさと、全産業平均に及ばないトラックドライバーの賃金水準です。 中小企業庁の調査等によれば、トラック運送業は価格転嫁が最も進みにくい業種の一つとされており、赤字企業の割合も約半数に達しています。その要因として、以下のような構造的課題が指摘されてきました。 発注者(荷主)との力関係による運賃の据え置き 多重下請構造(中抜き)の常態化 安価で無理な条件を引き受けるダンピング事業者の存在 こうした状況を改善し、ドライバーの適切な賃金確保と業界の持続可能性を高めるため、「法的に適正原価を定め、それを下回る取引を制限する」という抜本的な規制が導入されることになりました。 2. 「適正原価」の算定式と、新たに加わる重要要素 検討会で示された適正原価の算出イメージは以下の通りです。 適正原価 = 運賃原価 + 委託手数料 + 料金原価 + 燃料サーチャージ + 実費 従来の「標準的運賃」でも、全産業平均を踏まえた人件費や車両償却費、燃料費などが考慮されていましたが、今回の「適正原価」では、新たに2つの重要な費用要素が組み込まれる案となっています。 ① 輸送の安全確保のために必要な経費 価格競争によって安全対策が疎かにならないよう、独立した構成要素として盛り込まれます。 点検・車検費用や各種講習費だけでなく、ドラレコやデジタコの導入、任意保険料など、安全運行に欠かせない費用が評価対象となります。 ② 事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資 単なる拡大投資ではなく、事業許可基準を継続して満たすために必要な資金です。 人材の確保・育成、労働環境の改善、BCP(事業継続計画)への投資など、将来にわたって経営を維持するための費用が原価として認められる方向です。 3. 今後のスケジュールと「5年ごとの許可更新」への影響 この「適正原価」制度は、法律の公布から3年以内(遅くとも令和10年6月まで)に全面施行される予定です。今回の検討会では、2026年12月を目途に提言案を取りまとめるスケジュールが進められています。 ここで最も留意すべきは、将来的に「適正原価を下回る価格での受託・委託を継続した場合、トラック事業者の許可更新(5年ごと)が認められなくなるリスクがある」という点です。 単なる「目安」だった標準的運賃とは異なり、適正原価は事業の存続に関わる強力な基準(ハードル)となります。また、適正原価を下回る運賃を強いる悪質な荷主に対しては、行政による是正指導(トラック・物流Gメン等による要請・勧告・公表)の対象となります。 4. 社労士の視点:経営者が「今から」準備すべきこと この動きは、運送会社と荷主企業の双方に自社の労務・コスト構造を見直すきっかけを与えています。 運送事業者の皆様へ 最低賃金の改定や社会保険料の負担増など、人件費の上昇は今後も続きます。 「安さ」で勝負する経営から脱却し、自社の1時間あたり・1kmあたりの適正な運行原価(人件費・安全投資含む)を正確に試算・把握することが第一歩です。国が示す指標を根拠に、堂々と適正な運賃交渉を行える体制を整えていきましょう。 荷主企業(一般企業)の皆様へ 「運賃を安く抑えること」がリスクになる時代へ移行しています。不当な買いたたきはコンプライアンス違反や物流の停止(自社貨物が運べなくなるリスク)に直結します。 サプライチェーン全体で適正なコスト負担を受け入れ、自社・取引先双方の労働環境改善に協力していく視点が求められます。 まとめ 令和8年12月の検討会提言、そして今後の適正原価の告示に向けて、物流業界のルール改定は着実に前進しています。 「制度が変わってから慌てる」のではなく、自社の賃金体系や原価管理、取引条件の適正化に今から取り組んでいくことが、これからの時代に選ばれ続ける企業になるための鍵となります。 参考・出典資料(一次情報) 本記事で解説した検討会の詳細資料や関連法令については、下記の公的機関ページをご確認ください。 国土交通省 物流:第1回適正原価の設定に向けた有識者検討会 - 国土交通省 トラック運送業をとりまく現状及び最近の取り組み 002013675.pdf 標準的運賃について 002012605.pdf 適正原価の設定に向けた論点提示 002012606.pdf 今後の検討の進め方(想定)002012607.pdf 自社の就業規則の見直しや労務管理についてご相談・ご質問がある経営者様は、 お気軽にお問い合わせください。

  • 【経営者必見】高年齢雇用継続給付・育休手当の上限改定!定年後の賃金設計と労務対応の注意点

    厚生労働省より、令和8(2026)年8月1日以降に適用される「雇用保険の基本手当日額」や「各種給付金(高年齢雇用継続・育児・介護等)の支給上限額」の改定が公表されました。 今回の改定は、毎月勤労統計の平均定期給与額の変化に伴う見直しですが、「単なる労働者向けの手当変更」と見過ごしていると、定年後の賃金設計のズレや社内トラブルにつながる恐れがあります。 本記事では、経営者や人事労務担当者が今すぐ押さえておくべきポイントと、実務上の注意点を分かりやすく解説します。 1. 今回の改定内容のポイント(主要な上限額・下限額) 今回の改定では、全体として上限額・下限額ともに引き上げ(増額)となっています。 ① 高年齢雇用継続給付金(定年再雇用者向け) 支給限度額: 月額 386,922円 ➔ 397,369円(+10,447円) 60歳到達時等の賃金月額上限: 508,200円 ➔ 522,000円 ② 育児休業給付金・出生時育児休業給付金(パパ育休) 育児休業給付(支給率67%・上限): 月額323,811円 ➔ 332,454円(+8,643円) 育児休業給付(支給率50%・上限): 月額241,650円 ➔ 248,100円(+6,450円) 出生時育児休業給付(上限): 302,223円 ➔ 310,290円(+8,067円) ③ 雇用保険の基本手当日額(失業給付) 45歳以上60歳未満(上限): 8,870円 ➔ 9,110円(+240円/日) 60歳以上65歳未満(上限): 7,623円 ➔ 7,830円(+207円/日) 全年齢(下限額): 2,411円 ➔ 2,562円(+151円/日) 2. 経営者が特に注意すべき 「定年後の賃金設計」と「労務対応」 今回の改定に伴い、会社側で特に注意・対応すべきなのは以下の3点です。 注意点①:定年再雇用者の「賃金シミュレーション」の再確認 60歳以降も継続雇用する嘱託社員などの賃金設計において、「高年齢雇用継続給付」の支給を見込んだ給与体系を組んでいる会社は注意が必要です。 支給限度額が397,369円に引き上げられたため、会社が支払う基本給と給付金の合計額のバランスを再確認しておく必要があります。 「シミュレーションと実際の支給額がズレて社内説明と食い違う」といったトラブルを防ぐためにも、8月以降の支給対象月の確認が不可欠です。 注意点②:育休取得者への正確な説明による「エンゲージメント向上」 育休給付金の上限額が引き上げられたことで、比較的給与水準の高い社員が育休を取得した際の手取り減少幅が緩和されます。 社員から「育休中の手当はいくらくらいになりますか?」と相談された際、会社側が最新の上限額(支給率67%で月最大約33.2万円)を踏まえて正確に説明できることは、 社員からの信頼感(エンゲージメント)や安心感に大きく直結します。 注意点③:労務ソフトのマスタ更新とハローワーク提出書類の確認 8月1日以降に離職する社員の離職票作成や、各種給付金の申請手続きにおいて、自動計算される上限額が切り替わります。 自社で給与計算・労務ソフトを導入している場合は、8月改定のマスタ更新が正しく行われているか必ず確認しておきましょう。 3. まとめ:法改正・各種改定への迅速な対応が会社を守る 雇用保険や各種給付金の上限額は、毎年のように細かな改定が行われます。 「知らなかった」ことによる計算ミスや社内説明の齟齬は、従業員との信頼関係を損ねる原因にもなりかねません。 常に最新の労務情報をキャッチアップし、自社の賃金規定や労務手続に反映させていくことが重要です。 🔗 参考リンク(厚生労働省公式案内) 今回の改定に関する詳しい資料や、社内配布・確認用のリーフレット(PDF)は、厚生労働省の公式ホームページにて公開されています。 実務での確認や社内共有にご活用ください。 令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について|厚生労働省 雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ 001726934.pdf 高年齢雇用継続給付金 介護休業給付金 の受給者の皆さまへ 001728499.pdf 基本手当日額の計算式及び金額(令和8年8月1日~) 001726936.pdf 👉[お問い合わせ・ご相談はこちらから three-sr@outlook.jp]

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